アイアムアメッセンジャー!
千葉Gori
第1話 落ちてた眼鏡は拾っとけ
「お兄ちゃん!起きて〜!」
「ズゴンッ」
「痛っ!起こす時に頭突きする妹がどこにいんだよ!」
「入学式、遅れちゃうよー!」
「やばいっ!今日入学式だ!!」
今日は月曜日、高校の入学式の日だ。
「行ってきま〜す」
はあ〜、やっと着いたか。
「あと二分、お前らもっと余裕持ってこい!」
これやっぱり高校でもあるんだな。
中学時代、毎日聞いた台詞だ。
俺の出席番号は15番だから、ここか。
「何だこれ」
下駄箱の中には、赤い包みに包まれた一つの手紙が入っていた。
ラブレターじゃないよな。
入学初日だ、考えられない。
じゃあ、これは一体何の手紙なんだ。
「じゃあ、次、末野くん。自己紹介お願いします」
お決まりの自己紹介タイムがやってきた。
この自己紹介は絶対に失敗できない。
失敗は許されないぞ、俺!
「初めまして。末野裕太です。趣味は読書とかアニメ鑑賞です。よろしくお願いします」
「パチパチパチ」
乾いた拍手だ。やっちまった。
今までの経験から察するに、趣味の選択ミスか。
確かに、読書とアニメ、自己紹介の時に言うと皆んなが冷めちゃうワードトップ3には入る。
高校で友達できるのか俺。
まあ、今はそんなことを心配している場合じゃない。
今問題にすべきはあの謎の手紙だ。
時間に追われていたため、あの手紙を開ける時間がなかった。
この時間が終わったら、トイレに行って手紙の内容を確認しよう。
「キーンコーンカーンコーン」
よし、行くか。
ここがトイレか、公立高校にしては大分綺麗だな。
さてと、誰もいないのを確認したことだし、あの謎の手紙を早速開けよう。
何かの手違いでラブレターだったりしたらどうしようかな〜。
うふふうふふ。そう思うとにやけが止まらん。
どんなのが入ってるのかな〜。
そんなこんなで俺は手紙を開けた。
「何だこれ」
『未来の君より、落ちてた眼鏡は拾っとけ。
いきなりのことで驚いていることだろう。だが信じてくれ、私は本当に未来の君なんだ。だが先に言っとくと私はもう既に死んでいる。天国からのメッセージと言うことになるな。天国に行く前、神様と話すときに言われたんだ。君、やらかしすぎてるね。そう言われたんだ。もちろん罪を犯したわけじゃない。まあ、日常生活でやらかしたんだ。そんな俺に、神様はチャンスをくれた。過去の自分に3つだけ手紙を送れるというものだ。まあ、3つの手紙でどのように変化するかは私にも想像がつかない。結局のところ君次第だ、頑張ってくれよ。』
は、何だよそれ。
未来の俺より?
何だそのつまらんギャグは、全く意味がわからん。
それに、落ちてた眼鏡は拾っとけってどんなメッセージだよ。
まったく、新入生にこんなイタズラをするなんてけしからん奴だ。
まあ、一応このメッセージ心に留めておこう。
よし、次の時間も始まるし戻るか。
次の時間は、クラスの係決めだ。
これ、マジで長引くんだよな〜。
まず、委員長を決めなければならない。
だが、これが最初にして最大の問題だ。
どこぞのスーパー優等生じゃないとやらないし、これだけで20分かかるとみた。
は〜、早く誰かやって来んないかな〜。
「誰か、委員長やってくれる人いますか。立候補する人は手を挙げてください」
出るわけないだろうな〜。
「はい。私やります」
そう言い、立ち上がった彼女は黒髪ロングの綺麗な顔立ちを持った美人だった。
とんだ優等生美人がいたもんだ。
彼女の名前は花野恵入学式で新入生代表挨拶をしていたから名前ぐらいは覚えている。
容姿端麗、成績優秀、本当にすごいよな。
こういう人を見ると素直に感心してしまう。
そんなこんなで、各々係が決まっていき俺は図書委員になった。
仕事は大体、昼休みと放課後の当番、そして図書館の雑用だ。
まあ、中学も図書委員だったしいいか。
そんな感じで高校生活一日目が終わった。
そして2日目、そこで事件が起きたのだ。
あれ、廊下に眼鏡が落ちている。
伊達眼鏡だ。
これ、あれだよな。拾った方がいいのか?
明らかにあの手紙と合致している内容だ。
未来の俺とか言う奴のことを信じているわけじゃない。
だが、拾ったからと言ってお咎めをもらうわけでもない。
一応、拾っとくか。
そう思い、俺は学ランのポッケの中に眼鏡を入れた。
あとで事務室にでも渡しに行こう。
そして、1時間目のグループでのお喋りタイムがやってきた。
「じゃあ最初、学級委員長の花野さん。自己紹介よろしく」
「初めまして、花野恵です。好きな食べ物はマカロンとかケーキです。
よろしくお願いします。」
まさか、学級委員の花野さんと同じグループになるとはな。
好きな食べ物もマカロンとケーキって女子だな〜。
「初めまして、俺の名前は佐野健。今んとこ、サッカー部に入ろうと思ってます。
よろしくお願いします!」
元気のいい奴だ。
黒く焼けた肌、がっしりとした体、爽やかな短髪と整った顔だち。
だが、こいつの顔が言っている、正真正銘の馬鹿だと。
「ほんじゃ〜次、末野だっけ?自己紹介よろしく」
ついにきたか。今度は失敗しないぜ。行くぞ、俺!
「初めまして、末野圭です。好きな食べ物は蟹とイクラです。よろしく」
決まった!好きな食べ物は海鮮系に偏よっちまったけど割りかし良かったぜ!
「じゃ〜次、鈴木さんだっけ?自己紹介よろしく」
こいつ、もう皆んなの名前覚えてんのか。スゲーな
「あ、はいっ。わ、私の名前は鈴木喜咲です。よ、よろしくお願いします。」
長い前髪とちょっとボサっとした髪、150cmあるかもわからないほどの低身長。
そして、小さな声と自信なさげな感じ。
「よし、みんな自己紹介終わったことだし。末野連絡先交換しない?」
え、マジで!逆にいいのか佐野?高校生活の友達第1号ゲットか!
「おう。これ俺の連絡先」
結構嬉しいもんだな。中学時代はあんましこういうことはなかったからな。
「なあ末野、放課後ファミレス寄らね?」
「あ〜、いいよ。行こう」
高校生活ばんざ〜い!
そんなこんなで俺は放課後に佐野と2人でファミレスに行き、昼ごはんを一緒に食べた。
入学してから数日が経ち、だんだんとクラスのグループも形成されていった。
俺はというと、佐野と打ち解けて2人で行動することが多くなった。
また、高校らしい授業も始まっていき、ついこの前まで中学3年生だった俺らも高校生活に適用していった。
そんなある日、昼休みに高校生活最初の図書当番がやってきた。
「そういや誰だっけ?お前のペア」
図書当番は1クラス2人いる図書委員のペアで回すことになっている。
「鈴木さんだよ。鈴木喜咲さん」
「あ〜、最初のグループ活動同じだったよな」
彼女は正直に言ってクラスで浮いている。
長い前髪や休み時間は基本読書をしていて、皆んなも近寄り難いのだろう。
読書は1番バリアの効果が高いから無理もない。
まあ、そのうち友達の1人や2人できると思うが。
てか、そういえばあの眼鏡ポッケに入れっぱなしだな。
放課後事務室に届けに行こう。
そして、昼休みがやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます