地球ロリーン作戦

ハタラカン

少女乗りの夢


「えへへ♡だーいしゅきぃ♡」

「ハハハ僕もだよハニー!」

僕の彼女は最高に可愛い。

否、こんな堅苦しい字面では魅力を表現しきれやしない。

きゃわゆいだ。

きゃわゆい!!

きゃわゆいいいいいい!!

カレンちゃんの12歳ボディは背伸びしても僕の喉仏に届かない。

んぎょっほほォウッ!!!

それでいてお胸!!

目玉焼きのように控えめな膨らみがもたらすカーブは、宇宙の真理をそのまま象っている!!

あひョッ!!

イひょひょファオオオァッ!!

お尻!!

神にしか成しえないとされる真円…その半球が彼女の腰にはあるっ!!

ニュギョふぇファイっ!!

完璧だ。

単にきゃわゆいのみならず、女盛りのエロスそのものだよカレンちゃん!

カレンちゃんを美のピークと認めるなら16歳以上は熟女、20歳以上は老婆になっちまうけど、ま、しょうがないね!

「ジェフぅ〜、チュウしてぇ〜」

「HA!HA!HA!

まったくエッチな天使ちゃんだぁ〜」

そう、天使だ。

人間であれば反射的に愛してしまう天使だ。

だが驚くべき事に、世の中には天使を憎む悪魔が存在する。

そいつらが言うには、天使を保護し、性的なものを含む喜びを与えたいと思う事は異常な絶対悪で、悪魔こそ保護に値する貴重な生物らしい。

HA!

まるで喜劇役者のセリフだ!

天使自ら同じ主張をしたならいざ知らず、悪魔が生贄を求めて熱弁しているのだからコントでしかない。

僕は悪魔どもを全く意に介さず、カレンちゃんとイチャイチャチュッチュズコバコギューしまくった。


「んぢゅばっべろんばっ」

「はうう…ぴりぴりすゆよぉ…」

昨日セックス、今日セックス。

明日セックス、明後日セックス!!

いくらやっても損耗しない、いくらやってもお互い嬉しい事なーんだ?

残念、セックスだ。

そんなに嬉しいわけない?

OH〜お気の毒に。

僕達は嬉しい。

カレンちゃんの進化を残した成熟は、何度味わっても味わいつくせない。

僕はカレンちゃんの目玉焼きの黄身ならぬピンク身を延々しゃぶり続けた。

ああ〜ロリうめ〜。

「んもう…だめぇ。

そこばっかりぃ…」

「HAHAHA、じゃあどうしてほしいんだい?

言ってごらん」

「い、挿れてぇ…」

「なにを?」

「お、おっきいの…」

「困ったな、この部屋で一番大きいのはベッドだが、まさか羽毛に寝取られる日が来るなんて」

「おチンポ!おチンポ挿れて!」

「どこに?」

「うう〜っ、カレンのお腹!

おチンポでお腹いっぱいにしてぇ!」

「ま、いいでしょう。

了解ですお姫様」

中段に構えたmyサムライソードで突き入れると、カレンちゃんの鞘がにゅるぷにりんっと納めてくれた。

ん?

子供に大人サイズを挿れるのは虐待だって?

おいおい、君は性教育の無い国で育ったのかい?

一般的に12歳は出産可能な年齢なんだぜ?

赤ん坊が通れるんだ、myソードなんてポテトを丸呑みするくらい簡単さ。

ちょっと複雑な気分だけどね!

HAHAッ!

「おっ♡んおっ♡おうんっ♡」

そ〜ら見ろ、どうだいこの溢れ出る蜜そのものの喘ぎは。

子供部屋をノックしてやるたびにいつもこの調子。

天使が豚に堕ちちまう。

そうやって狼をおびき出すのがカレンちゃんの常套手段なんだ。

「ハハーッ!

今すぐドアをこじ開けてやるぜメス豚ちゃん!」

「ふひっ、ふぎいいぃぃぃいっ!!」


「ハアハア…」

事を終え、僕の胸板に横たわるカレンちゃん。

まるで捌いてほしいと言わんばかりだった。

その無防備な姿を見て、僕はいつにするか決めかねていたトドメを刺す事にした。

「カレンちゃん…結婚してくれ」

「…嬉しい…いいよお…」

イエーア!


時間はねがいリニアモータの如くスピーディーだ。

ネットリベタベタした甘い蜜に包まれていると、感覚がどうしても追いつけなくなる。

気づけば3年経っていた。

カレンちゃんのロリボディも15歳に。

結論から言えば、これはこれでアリだ。

僕の鼻に届く背はキスしやすくて便利だし、目玉焼きを覆い隠したお碗の手応えは素晴らしい。

膨れ上がったぶん崩れた真円は、熟れた果実という陳腐な表現がよく似合って食欲をそそられる。

三年前の僕がタイムマシンでやってきたら、今の僕をゲテモノ食いだとこき下ろすかもしれないが、なーに心配ご無用!

だって僕が三年前乗ってたのは勢いだからね!

HA!HA!HA!

さておき、通常なら興醒めする変化も、好きな女性のものなら決して嫌ではなかった。

「君もずいぶん育ったね!

HAHAHA!」

僕が冗談っぽく言うと、カレンちゃんから笑みが消えた。

「どうしてそんなこと言うの?」

空気が冷たい。

いや違う。

冷たいのは僕の体だった。

凍てつく殺意を向けられ、瞬時に血の気が引いてしまっていた。

「私がそれ気にしてるってわからない?

一緒に暮らしてるのに?」

銀行強盗でももう少し暖かい、人肌で温もった銃口を突きつけてくれるだろう。

カレンちゃんの声は化学薬品のように冷たく、痛みを与えるほどだった。

「あ、いや…」

戸惑って繋ぎのつもりで喋ったら、なぜか薬品が爆発した。

「いやって何!?

否定するの!?

私を!?

愛してるんでしょ!?ねえ!!」

人が祈りを発明していてくれてよかった。

おかげで空模様を説得する愚を避けられる。

僕は無心に謝った。

「ごめん!

謝るよ…だから機嫌を直してくれ」

「じゃあ手術代出して」

「…手術代?」

「早く!

なんで怒ってるかわからないの!?」

言われるがまま1000$手渡すと、翌日には12歳ボディのカレンちゃんが帰ってきた。


「あっ♡あっ♡出てりゅ…っ♡」

「ンフ〜っ、オゥイェ〜…」

カレンちゃんは肉体だけでなく気分まで逆戻りさせ、すっかり春の陽気を身に纏っていた。

久々の12歳ボディにハッスルした僕のミルクで腹を満たすと、ゴキゲンに微笑む。

ん〜やっぱ天使!

矛盾を孕む言い方になるが、その天使といつまでも二人きりなのは勿体ない気がしてくる。

僕達は別の天使を召喚できるはずだ。

そして天国も羨むくらい複数の幸せを重ねられるはずなのだ。

「スタァップ!」

愛用の避妊薬に手を伸ばしかけたカレンちゃんを制止する。

「え?どうしたの?」

意図はわかりきっているだろうに、天使1号はすっとぼけた。

「ハニー?

僕達もそろそろいいんじゃないかな」

「そろそろって?何が?」

本当にわかってないみたいだった。

その可能性を一顧だにしていないのだ。

「OH〜欲しがりさんめ。

わかった、ちゃんと言うよ。

僕の子供を産んでほしい」

「えええ〜〜〜〜〜〜〜っ?」

ほとんどNOに等しいEだった。

「嫌なのかい?なぜ?」

「え〜だってえ〜」

物凄く嫌がってる印象なのに、理由は喉につかえているのがわかる。

そんなに憚りある内容なのか…?

「私は二人きりがいいなあ〜」

「HAHAHA!

かわいいやつめ!

安心してくれ、僕はサッカーチームの監督に就任した後も君を一番に考えるよ」

「いや〜でも〜、女の子育てるの大変だよ〜?

同じ女だからわかるの」

「なんだ、気が早いじゃないか。

もう女の子を授かるつもりでいるなんて」

「えっと〜、う〜ん、あ!

ほら、この体だからね?

出産なんて危険じゃない?」

「なにをいまさら…現代医学に不可能なのは謙虚になることくらいだろう」

結局大した理由はなかったようで、やがて僕が押しきる形になった。


「ジェフぅ〜、だっこぉ〜」

「お安い御用さ!」

カレンちゃんに悪阻がきた。

数ヶ月後、胎児の性別が判明する時期だというので病院へ再検査に。

僕にとっては待望の第一子。

カレンちゃんは女の子を育てる大変さがわかるらしいが、男の子の大変さを知る身としては断然女の子希望である。

検査後それを医師に伝えると、医師はにこやかな笑みで言った。

「おめでとうございます。

女の子ですよ」

「おおっ!」

「チッ!!」

医師の通告の直後、カレンちゃんの方向からライターに着火するような音がした。

しかしカレンちゃんは嫌煙家で、彼女のむこうには壁が立っているのみ。

きっと気のせいだ。

それか余程の安普請なのだ、この大病院は。


出産後のカレンちゃんの育児は、お世辞にも積極的と評せる代物ではなかった。

本人は親の体裁を保てているつもりらしい。

だが、ガードロボットが人さらいと間違えるくらいには素っ気なかった。

当然、困難の擬人化の如き娘が母の態度を解せぬはずもなく、両者の関係は七五三を終えるより早く冷え切っていた。

娘いわく、およそ3年おきに母が12歳となって帰ってくる事も不信の原因だという。


ところが、娘13歳の誕生日が近づくにつれ、カレン…娘にちゃん付けをやめさせられた…まあとにかくカレンの態度が一変した。

「おめでとう。

いやあ〜おめでとう!

よかったわねえ〜!

人生最高の日がもうすぐ来るわよ!」

天使の笑顔。

これまた当然、健全な市民なら上機嫌な人さらいを歓迎できないだろう。

娘の反応は母譲りの冷気を吹いている。

「どうしたの?

ママ…気持ち悪い」

「どうしたって…つれないわねえ〜。

あなたの、大事な娘の誕生日じゃないの〜。

毎年ちゃんと祝ってあげてるでしょう?」

これは本当だ。

カレンは娘の誕生日だけはガードロボットに胸を張れる。

「キモ…なんなの?

毎年毎年誕生日だけ…」

「そんな口のききかたじゃ私みたいに素敵な旦那様をゲットできないわよ。

ね、ジェフ?」

「そうだね」

「ほら〜パパもこう言ってるんだから、ちょっとは可愛くしなさい?

あ、誕生日プレゼントは何がいい?」

「じゃあ、10歳になりたい」

娘が希望を述べた瞬間、天使の笑顔が引きつった。

「あたしやだもん。

親より老けてる娘になんかなりたくない」

「駄目」

カレンの返答は、やはり親らしくはあった。

「なんで!?

ママだってやってるじゃん!!」

「ママはいいのよ〜」

「なんで!?ずるい!!」

カレンを一番に考えるという約束を反故にしてしまうが、僕も娘と同じ疑問を抱いていた。

「駄目ったら駄目!!!!!

ママの言うこと聞きなさい!!!!!」

理由は語られず。

死ぬほど、否、娘を殺しかねないほど嫌がっている事しかわからなかった。


カレンの変化は誕生日以降も続いた。

「ジェフ?

授業参観っていつ?」

「え?

明日だけど…どうしたんだい?

今までずっと避けてたのに」

「やあねぇ避けてないわよぉ〜。

ちょっと都合があわなかっただ・け。

明日は私が行くから」

カレンは相変わらず天使だ。

勘ぐらず、ついに親心が目覚めたのだと思うことにした。

が、当日の昼、カンカンに怒った娘が先に帰ってきた。

「なんでパパが来なかったの!?」

「ああ…ママが行きたがってたから…」

「そりゃあそうでしょうね!!

クラスの誰より若い親同士で集まって、授業そっちのけで美容の話しかしないんだもの!!

普通に年くってる他の親の白い目ガン無視でね!!

あーあたしも普通の親がよかった!!」

「こらこら、ママは普通だよ」

一応かばっておく。

普通なのは確かなので間違ってはいない。

親同士集まりたかっただけなら小学校の頃から行っておけばよかったのに…という疑問は疑問のまま残そう。

宗教とは本当に便利なものだ。

信じていれば救われる。


その日、カレンはなかなか帰らなかった。

娘によるとママ敵…ママ友たちとの茶会に参加するそうだ。

それにしても遅い。

陽が半分稜線に隠れ、代わりに不安が登りだした時、スマートスーツに着信が入った。

「もしもし」

「カレンさんの夫のジェフさんですか?

カレンさんが銃撃されました」


「カレン…!!」

僕が治療室に着く頃、天使は召されかけていた。

「頭部に直撃弾を受けています。

お気の毒ですが、今は死なせないでいるに過ぎません」

「ああ…!!」

説明を受け泣き崩れた。

カレンが、妻が、天使が残酷に殺されるのだ。

悲しくないはずがない。

悪魔以外は。

「だれが…誰がこんな事を…!」

「…いずれ警察からも説明があると思いますが…」

遠回しに暴露の欲求を告げる医師。

「何か知ってるんですか!?

教えて下さい!」

聞いたとて奇跡がカレンの脳組織に変形してくれたりはしない。

しかし僕は、いずれではなく今すぐに、気持ちの落とし所を必要としていた。

「データベースによると、彼女は…陽菜さんは、かつてあるグループに属していたようです」

「…………ヒナ?」

「今川陽菜。

それが彼女の本名…というより、帰化以前の名前です。

ご存知なかったとは…すみません。

差し出がましい真似を…」

医師がホワイトボードに字を書いてくれた。

漢字だ。

なんてこった…じゃあカレンは、この島がジャパン州になる前の人間って事か!?

これだけでも十二分に衝撃なのに、まだ暴露に入ってもいなかった。

「てっきりご本人から伝えられてるとばかり…患者のプライバシーを明かすのはタブーなのですが…」

「いえ…構いません。

それより、あるグループとは?」

「…MOJです」

MOJ。

Mature

Of

Justice。

アンチエイジング系再生医療に反対し、たびたび殺人事件を起こす過激派組織。

要するに、天使を不俱戴天の敵と見做す悪魔の集団である。

詳しく取り上げるメディアが無いため、僕も主義主張以外はよく知らない。

そんな連中が存続し暗躍し続けられるのは、トップの構成員がどれも100歳を超える政経界の重鎮だから、という陰謀論を聞いた事がある程度だ。

「ここからは医師の言葉ではなく、世間話として聞いてください…。

真偽は定かでないという意味ででも、です。

私はとある人物の過去に興味を持ちました。

その人はうちがまだ再生医療専門の弱小医院だったころからのお得意様で、何度も若返りを繰り返していた。

興味を持ったきっかけは、過去のカルテを確認した時です。

その記名欄には、私が担当した時と全く異なる漢字の名前があった。

私は彼女がいつから存在する人間なのか気になり、今川陽菜の名で検索したのです。

出てきたのは、彼女が暴行、脅迫、共謀などの容疑で逮捕された記事でした…」

カレンに犯罪歴が…。

初耳だった。

初耳だったが、意外でも衝撃でもなかった。

カレンならそんな憚りある話をわざわざしないだろうと、むしろ納得した。

婚姻届などの不実記載も、彼女にとっては鬱陶しい小蠅を潰したくらいの認識しかあるまい。

「そこから芋づる式にMOJについても調べました。

と言っても、ネットの噂話レベルですが…。

それによるとMOJは、もともと高齢化社会に際し行われた若者特化政策への反対運動…の名目で始まったようです。

実情は無軌道な暴力組織、との評判ですがね。

ただ、そこに在籍していたと思しき陽菜…カレンさんが、なぜ否定してきたはずの若者側に寝返ったのかまではわかりませんでした」

夫の僕なら本人を問い詰めるまでもなくわかる。

勝てる手段が確立された時点で、負けを無かった事にする戦いの意義が失われたのだ。

「若返りの集団を狙い撃ちした今回の銃撃も、恐らくMOJによるものでしょう。

私が思うに、カレンさんは元の仲間から裏切りの報復を受けたのではないでしょうか?」

「いえ、そうとは考えにくい。

今日まで堂々と表で生活してきたカレンの態度は明らかに逃亡者のそれではない。

加えて、カルテが帰化以前の名前だったという事は、カレンは100年以上前から手術を受けてきた事になる。

つまり、100年以上前からMOJの標的であり続けていた。

報復にしては決断力が鈍すぎるでしょう。

たぶん、彼女はただ不運だったんです…」

「なるほど。

さて、医師に戻らせていただきます。

そんなカレンさんのリンカーネートを、あなたは希望しますか?」

「もちろん」

リンカーネート手術。

いわゆる転生手術だ。

需要のせいか、いつの間にかアンチエイジング用が主になっているが、本来は今回のような蘇生用である。

手順はこう。

まず古い肉体を量子テレポートで瞬時に分解させる。

すると約21グラム分の質量が作る空間の歪みが残るので、手術台の裏面?にあたる空間側をわずかに引っ張りあげる?事で手術台側の歪みを維持させ、不可視かつ不可触にして散逸性の強い21グラムを逃がさず残し、その位置へバイオプリンターで自由にデザインした新たな肉体を作成すれば完了だ。

何を言ってるのかわからないって?

安心してほしい、僕もだ。

医師の受け売りを語っただけだ…美容に疎ければそんなものである。

ちなみに、魂を移し替えてるだけだから殺人じゃない、という建前なのだと。

悪徳業者の安手術だと単に古いほうを消して、つまり殺して、バイオプリントだけで終わる所もあるらしい。

それでも脳の造りは確かなので記憶含む人格は全く問題なく再生されるそうだが、だからといってわざわざ手順を省くよう頼む道理もないので、僕はおとなしく手術を見守った。

「ママが12歳になるのってこの手術で?」

半ば強制で同行させた娘がようやく興味を示してきたので、そうだと答えた。

「ふ〜ん、やっぱずるい。

あたしもいつか絶対やるから」

いま考える事がそれか…。

安心した。

この娘は間違いなく僕達の子だ。


その後の人生に特筆するほどのビッグイベントは無く、僕は気づけば94歳になっていた。

気づくのが遅いって?

言ったろ、甘い蜜の中では時間がゆっくり進むんだ。

そう、ずっと甘い時間だったさ。

「パパぁ〜…」

今だって余命わずかの僕にすがりつく、母への対抗心で10歳になった娘がいる。

「ジェフぅ〜…」

負けじと僕の手を握る、娘への対抗心で8歳になったカレンがいる。

甘い甘〜い、天使たちとの蜜月だった。

彼女らは実にいい子だ。

娘は正直だし、カレンは優しい。

例えば娘と二人きりになったとしよう。

すぐにこんな会話が始まる。

「ねえ…ママの体どう思う?」

「まあ…セクシーじゃないか?」

「はあ〜。

あたしも4歳くらいになろうかな〜」

「よしなさい切りがない。

パパの精子が若さ自慢を始めたらどうする?」

「そういう問題じゃないんだよな〜。

ママに負けるのが嫌なの。

あ、負けるといえばなんだけど、ママってどうもパパの遺産独り占めしようとしてるっぽいよ〜?」

「ふーむ」

「ふーむ、じゃなくてさ!

なんとかしてよ!

リンカーネートだってタダじゃないんだよ!?」

「働いたら?」

「面白くない冗談やめて!

この体でできる仕事なんか無いよ!

ねえ〜パパ!

パパはあたしの味方だよね!?ね!?」

「わかったよ。

それとなく諭しておく」

「やった!

あたしの分は7で大丈夫だから!」

どうだい、おっぴろげてるだろ?

女ってのはこうじゃなきゃ。

カレンと二人きりならこうだ。

「ねえ見た?

私と会った時の娘のあの顔!

あははっ傑作だわぁ逆転するつもりで来てやっぱり負けてた女の顔って!

まさか昔言ってたとおり10歳になるなんて、素直でいい子に育てられて嬉しいわあ〜」

「そうだね」

「ま、これで自分がどれだけ卑怯だったか理解できたでしょう。

あなたもそのくらいの歳になったらわかってきたんじゃない?

ただ後に生まれただけで若いなんてずるいってね」

「そうだね。

わかってきたから、僕もリンカーネートを受けて君たちと対等になろうと思うんだが、どうだろう?

そうすれば遺産を残すなんてケチくさい事せず、もっと多くのものを与えられると思うんだ」

「う〜ん、え〜っと、ほら、人間はさ、ありのまま生きてこそだと思うのよ、うん」

どうだい、優しいだろ?

僕を人間のままでいさせてくれるんだぜ?

「パパぁ〜…」

「ジェフぅ〜…」

そして家族三人揃えば、涙を流しはしても元気になってとか死なないでとは決して口にしない。

本当に真面目な天使たちだ。

「はぁ〜い、けんおんのおじかんですよぉ〜」

そこへ白衣の天使が検温にやってきた。

外見年齢は13〜14ってとこか。

窓の外、病院の中庭へ目をやれば、僕と同じような爺さんたちが家族であろう天使に囲まれているのが見える。

あっちも天使、こっちも天使。

まるで天国さ。

どういう状況か?

おいおい、もう忘れちまったのかい?

カレンは『普通の』ママなんだぜ?

勝てる敵に勝とうとするのは普通の話だろ?

あと、人間が天使の導きによって召されるのも。

「うっ、うぐっ」

「ジェフぅ〜!」

どうやらエンドロールが終わっちまうみたいだ。

でも、同情なんかよしてくれ。

間違っても可哀想だなんて思わないでくれ。

僕は最高に幸せだったんだ。

だってわざわざ天使の着ぐるみを着てくれるのが、彼女たちにできる最高級の気配りだからね。

HA!HA!HA!

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