祈りの力でレベルカンストした件！〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

第53話 今後のこと

　俺は新たな名前を得てこれまでの人生と決別した二人、女騎士たるラナ改めリアン、おっさんもとい、僧侶たるサンリツ改めレオンは、冒険者として登録手続きを無事に終えた。

　冒険者としての第一歩だ。

　二人は俺と一緒に行動したいという。

　新たな身分を　確認すると、二人は驚きと喜びの表情を浮かべた。

「これが私たちの新しいカードか・・・」

　レオンは手にしたカードを眺めた。

「レオン・ハルトという名前が書いてありまするな。これで私も本物の冒険者でありまするな」

「私はリアン・ヴァレリアでござるか。女騎士の名を背負って、この名に恥じぬ戦いをしてみせるでござる」

　リアンもカードを見つめた。

「タケル殿、ありがとうございます。これはあなた様のおかげでござる」

「いや、俺は何もしてないよ。たまたま居合わせただけだから。それよりも本当に貴族の身分を捨てることになるが良いのか？」

　俺は二人に笑顔で言った。

「家から見捨てられた我らでござる。それならば家を捨て冒険者として生きるのも良いと思うのでござる。一度死んだ我ら、恩人たるタケル殿と共に生きたいのと冒険者には興味があったのでござるよ。それにたまたまと言われますが、これは運命でござる。タケル殿に尽くす為に私は生きていたのでござるな！」

「これからも頑張ろう。俺も君たちから信頼してもらえるよう頑張るから」

　まだトリップしているけど、そのうち落ち着くよね？

　これまで黙って様子を見守っていたエリスは、俺の話が終わるとリアンに何かを耳打ちしていた。リアンの表情から察するに、エリスがささやいた内容はリアンを安心させるものだったようだ。エリスがリアンに耳打ちした詳細は聞こえなかったが、リアンの表情が少し和らいだのを見て取れた。

　エリスはリアンのこれからの冒険者生活への心の準備を丁寧に説いていたのかもしれない。

　まさか俺の体の秘密がバレた？訳ないよね！？

「リアンさん、大丈夫ですか？」

　エリスはリアンに優しく声をかけると、リアンは嬉しそうにしている。

「これからはタケルさんたちと一緒に冒険することになりますが、不安なことはありませんか？」

「エリス殿、ありがとうござります。実は少し不安でござった。私はまだ冒険者としての経験が浅いし、タケル殿に迷惑をかけるのではないかと思っていたのでござる。それと夜伽・・・」

　リアンは素直に答えているが、最後の方は俺の方をちらりと見ながら小声で話しているな。なんだろう？しかし女子の会話に首を突っ込むとろくなことがないから気が付かないふりだ。これ大事！

「・・・でも、エリスさんが私に教えてくれたことで、少し気持ちが楽になったでござる。これからの私はタケル殿の仲間であるということを忘れず、自分の役割を果たすことに集中するべきでござるな」

「そうですね。タケル様を始め、サキさんもリアンさんのことを仲間として大切に思ってくれます。リアンさんもタケル様を信じて尽くしてください。私もリアンさんと一緒に尽くしますから」

　エリスはリアンに笑顔で言っているのと、二人の話に問題ワードが盛り沢山なのだが、俺はスルーすることにした。

「それに、リアンさんは女騎士としての誇りを持っていますよね。その誇りを胸に、タケル様と共に戦ってください」

「はい、エリス殿。その通りでござる。私は騎士としての誇りを持って、タケル殿と共に戦ってみせるでござる。エリス殿、ありがとうございます。貴殿ほ言葉に救われたでござる」

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「はい、リアンさん。それでは、タケル様のところに戻りましょうか」

　数分後、話を切り上げ俺のところに戻ってきた。俺もおっさん（レオン）との話が一段落したところだ。

「タケル様、レオンさん、すみません。少し話が長くなってしまいました」

「いや、いいよ。二人とも仲良くなってくれて嬉しいから。これからも仲良くしてくれよ」

　俺は二人に言い、次の行動に移る。

「さて、それじゃあ次に行くぞ。新しい装備や服を買いに行こう。取り敢えず外套を羽織ろうか」

　流石に今のままじゃ目立つので、服を買うまでは外套で隠すのが一番だ。

「はい、タケル殿。新しい装備や服を買いに行くのでござるな。申し訳ありませんが、我々はすべてを失ったのでござる。お金はこの身を捧げればよろしいか？」

「ちょっと待て。そんな必要はない。金には困っていないから。俺には仲間に最初の装備などをプレゼントするマイルールがあるんだ。だから気にすんなって！」

「リアンさん、レオンさん、楽しみですね。タケル様はこういう時、遠慮されると傷付くので、遠慮しちゃだめですからね！」

「はい、エリスさん。楽しみでござる」

「タケル殿、色々配慮頂き感謝いたすでござる。命を頂いた上、新しい装備や服まで買って頂けるとは言葉が出ませぬ！」

「いや、大したことじゃないから。君たちが俺の仲間になってくれたことに感謝するよ。これからの冒険に備えるために必要な物を揃えるのは当然だよ」

　俺は次におっさんに向き直る。

「おっさんじゃなかった、レオンはどうだ？新しい装備や服に興味はないか？」

「いや、私は別に……」

　レオンは言いかけたが、俺の視線に気づいて言葉を変えた。

　因みに歳上であるレオンを呼び捨てにするのは、サキからパーティーリーダー

　がパーティー員を呼び捨てにしないと、周りから誰がリーダーか判り難くなると言われたからだ。

　確かにのこの５人だと、年齢からレオンがリーダーに見えるだろう。

「いや、もちろん興味はありまする。タケル殿、感謝いたしまする。新しい装備や服を買って頂けるとはありがたいですな」

「よし、それじゃあ行こうか。新しい装備や服を買いに行こう。サキ、お前も一緒に来るか？何ならサキのも買うぞ」

　丁度魔石の換金から戻ってきたサキに告げた。

「ええ、もちろんですわ。タケルさん、私も新しい装備や服が欲しいですわ」

　サキは遠慮せずに一緒に行くと言ったので、５人で新しい装備や服を買いに向かうことにした。

　サキは俺たちだけの時は俺のことをタケルと呼ぶが、ギルド内ではタケルさんだ。