第十四話 古賀さんとギャル友と商店街1

夏休み前の、最後にして最強最悪の関門、期末テストが始まろうとしていた。


そのせいでテスト勉強に励まざるおえなかった僕は、古賀さんと2週間もデートどころか会うことも出来ていなかった。もしかしたら、ここ期間で、彼女は、またレズストーカー被害にあっているかもしれない。そして、百合展開になって、、、あああああ脳破壊されるうぅぅ。


流石に古賀さんの事だからないと思うけど、そういうモヤモヤもありつつ早くテストが終わって、古賀さんに会いたかった。



「ふう、、、」


まだ正午を回る前、僕は教室の時計の針を見て、一息着いた。そして、タイマーが鳴り、数学のテストは終わりを告げた。


これで全ての期末テストは終了し、ようやく解放されたのだ。


僕はウキウキだった。テストが終わったからじゃない。


『今日のお昼から暇?』


今日の朝、古賀さんからこうRISEが来ていたからだ!そう、古賀さんと今日、遊びに行けるのだ。


『テスト終わったし、暇だよー』


『ウチも、午後から暇だから遊ばない?』


『いいよ!どこ行く?』


『大盛駅で降りて、大盛商店街に行こうかなって』


『OK!どこで待ち合わせる?』


『大盛駅で!それと、ウチのギャル友も一緒に行く予定なんだけどいい?』


『うん。いいよー』


と朝のRISEはこんな内容だった。


なので僕は今、下校して、大森駅へ向かっている。


ギャル友さん達も、古賀さんとテスト終わりで一緒に遊ぶのだろう。いつもは、ギャル友さん達は、部活動で一緒に帰れないって言ってたから、今日は部活がないんだろうな。


NR駅の降車駅である大島田駅を通り越し、一つ先の古賀さんの最寄り駅の百枝駅も通り越すと、三つ先の駅が、大盛駅だ。


大盛駅で降りる人は多く、駅は人で溢れかえっている。それもそのはず大盛は、この県随一の都会であり、高層ビルやデパート、百貨店などが立ち並んでいる。


大盛駅から、徒歩数十分歩くと、大盛商店街がある。商店街の長いゲートが二つありとても大きな商店街でそこそこ栄えている。老舗の和菓子屋や異国情緒溢れた食べ物屋、メイド喫茶やマニアショップ、古着屋や雑貨屋、電化製品屋など様々な店が立ち並ぶ。古賀さん達は、そんな商店街の中の、ゲートの入口近くにあるケバブ屋の前に居た。


「あっ!渡くん!」


古賀さんは、僕をいち早く見つけるとこっちに手を振ってくれた。生憎あいにくたむろっている目立つギャル4人には話しかけずらい状況だったので助かった。あれ?4人?


「おぉ~中森っち!じゃん!」


「ああ、中森くんか。久しぶり」


よく見ると、パリピ系ギャルの天子さんとダウナー系ギャルの菜々子さんの他にももう1人いた。初めて会う人だ。


「アンタが、諒花の彼氏?なんか頼りなさそうなやつね」


彼女は、そう初対面の僕に言い放った。


「こーら、理子、ウチの彼氏だからって初対面なんだから、そんな口聞いちゃダメだぞっ」


「だってホントの事だもん。アンタ、諒花のこと追っかけてる迷惑ストーカーとおんなじ匂いすんのよねぇ」


と言って、理子さんという人は、悪態をつきながら、顔を近づけ、僕に睨みをきかせてくる。


第一印象として、癖のありそうな人だなと思った。なんか敵対視されているし、少し怖い。最も少しなのは、僕よりも身長が頭一個分小さいので恐怖度が抑えられている。僕の身長は165センチだから150センチ前半、もしくは140センチ台かな?所謂、彼女は、ロリっ子系ギャルJKだ。いや、、今流行りのメスガキ系?なのかな。


「今まで何してたの?」

と僕は、古賀さんに聞いた。


「ウチらも最近着いたとこでさ、天子一人がケバブ食べたいって鳴きやまないからケバブ食べさせてたの」


「ケバブ美味しいのに、、、みんな食べないの?」

と、天子さんはモグモグしながら言う。


「ぼ、僕はいいかな...」


「アタシも」


「今から台湾唐揚げ屋に行こうと思ってるからね〜!」

古賀さんは高いテンションでそう言った。


「おぉ、美味しそういいね!」

僕もそれに乗る。


「理子もいい?」


古賀さんが気を使ったように、黙っている理子さんに尋ねると、理子さんはずっと睨んでいた僕へ背を向けるようにきびすを返してこう言った。


「ふんっ、理子は諒花がいいならなんでもいいよ」



台湾唐揚げ屋は長蛇の列が出来ていた。


「けっこーならんでるね」


古賀さんはその列を見てそう呟いた。


「まぁ...お昼時だしねぇ...」

僕はその列に呆然としながらそう言った。


「うはー、もうケバブ無くなった!腹減ったよぉーこんな列並ぶのぉ」

と天子さん。もうケバブを食べ終えていてもたってもいられない感じだ。


「もし良かったら、僕が一人で並んでいるから、三人は他の店でも見てきたら?」

仕方ないので、僕はそう提案してみた。


「お、渡くん任せていいの?」

優しい古賀さんは、聞いてくれたが、僕は構わないと答えた。


「気が利くねぇー中森っち!よーし、空いてる食べ物屋探すぞー!」


「じゃあアタシは、あの店でも見てこうかな...」


と言って天子さんと菜々子さんの二人は、散っていった。理子さんは何も言わずに、古賀さんの様子を伺っているようだった。


「ウチはちょっと、トイレ行ってくるから、終わったら並ぶの変わったげるよ!」


古賀さんはそう言ってトイレに行ってしまった。そして、僕を敵対視しているロリっ子ギャル理子さんと二人になってしまった。


「アンタはなんで、諒花と付き合ったの?」


今まで黙っていた理子さんが急に口を開いた。


「えっ、えっと...」


「質問変える。諒花は、成り行きだって言ってたけど、アンタはどうなの?」


「僕は、、古賀さんの事が好きだから」


「はぁ、、理由になってないなそれ。正直言って、理子は今んとこアンタみたいな彼氏、認めるつもりないから」


ハッキリとした拒絶に、僕は、何も言えなくなる。語気も強く、睨みも効かせていて、僕と理子さんの間には見えないバリアがあるように感じた。


「理子が並んでるから、アンタもほかの店見てきたら?」


少しの沈黙の後、理子さんは気まずくなったのか、そう言った。僕はこの気まずさに耐えられなかったので、頷き、彼女の言う通りにした。

行くあては特にないけど、商店街だし、ふらつけば何かあるだろう。


「大切で大事な人だから、ちゃんとした人と付き合って欲しいのよ...」


僕が列を離れる際に、耳元で小さく、そう聞こえた。理子さんには、理子さんなりの想いがあって、それは古賀さんを大事に思うからこそ、僕に強く当たるのかもしれない。


僕はその気持ちに答えて、ちゃんと古賀さんに対する想いの強さと、大事に大切にするという信念を示していかなければいけないなと感じるのだった。

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