【一万PV感謝!】陰キャの僕が他校の“最強”ギャルと付き合う話

黒兎しろ

第一話 出会いは下校中、玩具屋にて

新学期、高校二年の春。

僕は、思いがけない出会いをした。その日はいつも通りの何気ない日々の、何気ない下校中だったけど、僕のつまらない日常は唐突に終わりを告げた。



僕は、地元のそこそこ頭のいい進学校に通っている。今日は、新たな高校生活が始まる始業式だった。


校舎の窓に貼られたクラス分けの名簿を見る。


A組からF組まである名簿を順に目を凝らしながら、見ていくと、二年C組中森 渡という文字を見つけた。その途端に、僕は、即座に下駄箱で靴を履き替え、二年C組の教室へ入ると、既に教室内は騒がしかった。


どうやら騒がしい連中は、友人と一緒のクラスになれたことを歓喜しているらしい。


一年生の時に、友達作りに失敗して、いや、そもそも自分の立場上、身に起こることの無い光景だった。


そんな周囲から僕は目を逸らし、机に突っ伏した。


こうすれば、落ち着くし、自然と時間が流れていく。僕のルーティンだった。



下校時間になり、僕は誰よりも早く校舎を後にした。登下校の途中に、僕は寄り道する場所がある。


そこは、寂れた玩具屋だった。


僕はその玩具屋に足を運び、新しい掘出し物がないかを探した。この玩具屋は、起きているか寝ているかを判別できない程の生気を感じないおじいちゃんが一人で店をやっている。品揃えとしては、店がそもそも狭いので少ない。最新の玩具を取り揃えてもいないこの店にわざわざ足を運ぶ理由は、普通の店では売っていないような超プレミアの掘り出し物が並んでいくからである。


子供の頃からプラモデルやラジコンなどが好きだった。子供の頃は、単純に遊ぶだけが楽しみだったけど、今では数量限定販売のプレミア品を見つけるというマニア的な楽しみをしている。


僕は新しく仕入れられた超プレミア品の品々を見ていく。そして毎回金額に驚かされる。とにかく安いのだ。ネットだと10倍以上の価格をするのに。おじいちゃんは、その相場を知らず売っているようだった。


おお!これは新入荷の某ロボットアニメのプレミア品プラモデル!しかも2000円安すぎる!相場じゃ3万はするぞ!


僕は興奮しながら、某ロボットアニメのプレミアプラモデルの箱を抱え、それをレジに持っていった。


「はい、まいどあり」


銅像のように微動だにしなかったおじいちゃんは声を発した。僕はその声にビビった。おじいちゃん、起きていたのか。


目的の品も買えたし、店から出ようと思った。その時だった。


「うわああああああああああああああ」


大声を上げて、金髪の女子高生が玩具屋に駆け込んできたのだ。


僕は思わず声を上げそうになったが、口をつぐんだ。


金髪の女子高生、ギャルJKと言うべきか、そんな彼女は、何故か僕の方をじっと睨んでいた。


金髪ギャルに睨まれて、僕はひるまざるおえなかった。怖い、、怖すぎる。ただでさえ女性耐性は無いのに。そういえば、南高で噂になってたのは彼女かもしれない。近隣の他校にとんでもなく最強で怖いというヤンキーギャルJKがいるという噂だ。


金髪ギャルは、なおも僕を見つめながらハアハアと息を切らしていた。この様子は野生のライオンが獲物に狙いを定めるかのように見えた。


何が目的なんだ。僕がなにかしたのか!?


もしかして、手に抱えているプラモデルが欲しいのだろうか?きっとそうだ。そうに違いない。

彼女は、これがプレミア品であることを知っていて、それを狙っていたのかもしれない。しかし、僕に先を越され、買われ、怒っているのだ。


所謂いわゆる、カツアゲというやつだろうか、、これを渡さないと彼女の背後からヤンキー学生が現れて酷いことをされるかもしれない。


「あの、これ、あげます...」


僕は、断腸だんちょうの思いで、某ロボットアニメのプレミア品プラモデルを彼女に差し出した。


「え?いいの?」


彼女は拍子ひょうし抜けしたような驚いた顔で、それを手に取ってから、また当たりを見渡すと、僕の背後に何かを見つけたかのように目を見開いて、僕の背後に回った。少し凹んでいて人一人入れるスペースがあったところに彼女はしゃがんで隠れた。四つん這いになりながら体を丸め、じっとそこで金髪のギャルっぽい女子高生は、たたずんで息を殺している。そこはちょうど、積み上げられた商品の山の影になっていて隠れられる場所だった。


何事だろうか、と思いつつも、僕には関係の無い話であろうし、もう睨まれてもいなかった。僕は早く店から出ようとした瞬間、また新たな来客である。


「すみませーん!この店で金髪ミディアムウルフカットの美少女見ませんでしたか!」


ギャルと同じ制服を着た女子高生が3人来た。


僕は、恐る恐るギャルの方を見ると、しーっしーっと口に指を当てていた。おじいちゃんはというと女子高生3人の存在すら気づいているか気づいていないか分からない反応のなさだったので、僕が答えた。


「いえ、見てません」


「そ、そうですか。すみませんおじゃましましたー!」


あっさりと女子高生3人組が去り、店に少しの静寂が訪れた後、ギャルは立ち上がった。


「ふー、もういないかな、流石に」


ギャルがそう言って、店の外を覗いていた。


よし、この隙に、店から出よう。何かあったみたいだけど関わりたくない。


ギャルの横をすり抜けて、店から出ようとした時、


「あっ、君!」


僕はギャルに声をかけられた。


「さっきは、ありがとう。居場所黙っててくれて。あーそれと、このプラモデルも。ほんとにいいの?」


「いや全然。ほんと」


ギャルの視線は鋭く、ビビりすぎて言葉になってなかった。一刻も早く、ここから立ち去りたいその一心だった。もしかして、要らないもの押し付けられたって怒ってるんじゃ。そうだとしたら僕の命が、危ない。


「ウチ、最近こういうの気になってたんだよね~!」


意外に気にいった様子だった。


良かった。これで僕の命は安全だ。


「じゃあ、僕はこれで」


「あ、うん!またね!」


久しぶりの、女子との会話だった。


もっとも、最初は女子と言うよりも、凶暴な獣と対峙たいじしているようだったが。意外と話してみたら優しそうで表情豊かで、少し心臓がドキッとした。


だめだだめだ。女子とちょっと話せただけで胸が踊り、心臓が早鐘はやがね現象するという陰キャあるあるを起こしちゃ。


それよりも彼女はなぜ、僕のことを最初睨んでいたのだろうか。


それを帰り道、僕は、改めて考えていた。彼女が女子高生3人から隠れていたことを察するに、恐らく、彼女は僕が隠れられる障害物になるかどうかを値踏ねぶみしていたのかもしれない。でも僕があまりにヒョロガリだから悩んでいたのだろう。


こんな無駄な想像もした。彼女にはきっと、超ムキムキで、肌は浅黒く日に焼けた短髪イケメンのチャラ男陽キャ彼氏がいるのだろうなと。まさに僕と正反対である。僕は、超ヒョロガリ、肌は、学校以外外に出ないから色白で、目にかかるほど長髪だし、オタク陰キャだし、、


正直、僕は、憧れていた。ああいう派手で美人な彼女が出来ることを。


でも僕の今のスペックじゃ、到底それは叶わない。だからそんな夢は諦めて、適当に平凡な高校生活を過ごすと決めていた。


それなのに、まさか僕があの、金髪ギャルと付き合うことになるなんて。


この頃は、思いもしなかったんだ。


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〈作者あとがき〉


初めまして!黒兎くろとしろです!


初投稿なので、至らない点や誤字脱字などが見られるかもしれませんが、暖かい目で見てくださると嬉しいです。


コメントや誤字脱字報告などをして頂けると本当に助かります!


さて、お話の方ですが、これからどんどん展開が動いていきますので、次回もその次も読んで頂きたいです。


それと、最後に。

読んでくださった方、ハート、星、コメントやレビュー、フォローをしてくださった方に本当に感謝しています!ありがとうございます。


とても、私の励みになりますので、今後ともよろしくお願い致します!


こちらもよろしくお願いします!!

こちら新作です。

「男の娘の僕がバ美肉でVTuberデビューしたら、いつの間にかハーレム築いてた件」

↓↓↓

https://kakuyomu.jp/works/16818093072868349045


二作目です。

「銀髪美少女JKの清楚で無口な昼と変態で囁く夜」

↓↓↓

https://kakuyomu.jp/my/works/16818023212126820814



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