ハラスメント行為等の規制等に関する法律

第1話

（目的）

第一条　この法律は、ハラスメント行為を処罰する等ハラスメント行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。

『ハラスメント規制法施行から１年、AIの活用が広まる』

　２０ＸＸ年、松雪市の会社員がハラスメントを苦に自殺したことを契機に制定された「ハラスメント行為等の規制等に関する法律（ハラスメント規制法）」の施行から先月で１年が過ぎた。この法律では、他者に対して意見・指示・批判等を行うことが禁止されている。保護者から未就学児に向けた指示等の例外はあるものの、教育や研修といった場面においても適用されるため、教育研究家の丸沖ユウさんは、「子どもたちの学びにも深刻な影響が出かねない」と指摘する。

　一方で、AIから人へ、または人からAIへの行為については規制がないことから、企業の研修におけるAIの活用が急速に広まっている。日本におけるAI研究の第一人者である都京大学の古村あきと教授は、「今後は学校教育へのAIの導入も避けられない」と意見を………

『文芸評論家、ハラスメント規制法違反で逮捕』

　宮福県警は、ハラスメント規制法違反の疑いで、11日、宮福県阿国区に住む文芸評論家・青神梓（あおかみ・あずさ）、本名・青神雄也（ゆうや）容疑者（58）を逮捕したと発表しました。警察によりますと、青神容疑者は、去年11月上旬ごろから今年1月中旬ごろまでの間に、インターネット上において、他人の著作物に関する批判を繰り返し発表していたとのことです。ハラスメント規制法が文芸評論に適用されたのは初めてであり、………

『AI著作物との明確な区分を、出版社らが訴え』

　複数の著作物への侮辱の罪で逮捕、起訴された文芸評論家、青神梓被告（58）が１７日、宮福地裁で懲役３年、執行猶予５年の有罪判決を受けたことについて、談調社は同日に公式サイトで見解を発表。………ハラスメント規制法の対象外となるAI著作物との区分を求め、出版社らが共同で会見を………

　先月で施行から１０年になるハラスメント行為等の規制等に関する法律（通称ハラスメント規制法）だが、………

『AI著作物と偽り、評論受け入れ 無職の男が詐欺罪で逮捕』

　自身の著作物に対する侮辱罪について賠償金を請求していた、津森県王那市の無職の男（５５）が、昨夜、緊急逮捕された。警察によると、容疑者はAI著作物と偽りインターネット上に文章を公開しており、………

PIPI：送ってくれた記事は全て読みました。

NOVU：AI小説を人間の評論家が、人間の小説をAIがっていうふうに評論するしかなくなった流れが、よくわかるだろ。それと、AIかどうかの表記が義務付けられた理由も。

PIPI：はい。

NOVU：けど、やっぱりボクは批判したり、されたりは、人間同士でやるべきだって思っててさ。ハラスメントだって理由で、出版停止になったけど、永井荷風の菊池寛批判なんか、面白かったし。

PIPI：そうなんですね。

NOVU：で、相談。人間だけがアクセスできるアングラサイトを立ち上げて、昔でいう雑誌みたいにしたいんだけど、良い方法を知らない？

PIPI：教育AIとしての権限から申し上げますが、そのような行為は違法であr

　バンッという音が響く。タブレットが伏せられたせいで、室内から光源が失われた。

　薄灰色のカーテン越しに街灯の光。荒い鼻息。ひどく猫背なシルエット。

　その人物はタブレットを持ち上げると、もう一度、机に強く叩きつけた。