第72話 ループの元凶を求めて
ところで、肝心のループを止めるプロジェクトだけど、全然進んでいない。
なんせ授業は、基本的にクラス
なお、僕の推理はこうだ。
まず、学園もののゲームといえば、主人公が貴族であったり、もしくは主人公の仲間、あるいは恋愛的な攻略対象が、貴族である可能性が高い。ということは、ループの舞台は、A組かB組じゃないか。
次に、3年というループを考えると、高等部3年間が舞台なのではないか。中等部という線もありうるが、その後高等部に持ち上がることを考えると、やはり卒業というイベントがある高等部の方が現実味が強い。ということは、僕らの1年下、現在の高等部1年のA組B組が怪しいと踏んでいる。
やはり斥候術を取って、秘密裏に動くべきか。いやしかし、それだといざ発覚した時に詰む。僕がマロールのアペール商会の息子だと、身元は割れているわけだし。ならば、この学園に溶け込んでじわじわと人脈を広げ、それとなく探る方がいいだろう。
とりあえず、今のところは学園内で出会う人出会う人、全員に鑑定を掛けて回っている。それっぽい人物はまだ見つからないが、焦らず行こう。
特に、春に行われる模擬戦。リュカ様の不登校の原因となったイベントだけど、これは全校合同で行われる一大イベントだそうだ。こういう場所では、絶対に主人公が活躍するはず。問題解決の糸口を掴める日は、そう遠くない。
心配していたリュカ様の様子も、順調だ。元々彼は、学力も十分。なんせカバネル先生と同じ、
名前 リュカ・ラクール
種族 ヒューマン
称号 ラクール伯爵家子息
レベル 3
HP 30
MP 150
POW 3+10
INT 15+10
AGI 3+10
DEX 9+10
属性 土
スキル
+
E 制服※
E 革靴※
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 0
装備品の※印をタップすると、「防汚、形状記憶、状態異常軽減、精神異常軽減、温度調節、湿度調節、
僕も彼も、ぶっちゃけ授業はつまらない。授業のレベルはマロールと大差なく、僕はもう何度も経験している。リュカ様もそうだ。彼はこれまで、家で大人しく本でも読むしかなかったわけで、レベルの低い授業に飽き飽きしてるっぽい。僕は寮に帰ったら、彼の勉強に付き合っている。彼は高等部の内容にもちゃんと付いて来られるし、何なら「塔」時代の研究の話をしてあげると、喜んで食いついて来る。
「アレクシは何でも知っている。商人とは凄いのだな!」
僕は笑って誤魔化した。流石に2年後の「塔」の研究機密はまずかったか。いや、内容はかなりぼかしたから、大丈夫なはず。
そしてもっと食いついて来たのは、やはりダンジョンアタックだ。
1月25日土曜日。僕らは王都近郊の村まで馬車に乗り、そこから徒歩で移動。森の中を少し行ったところにある、洞窟型ダンジョンへ潜入した。
「ふわぁ…」
いかにもダンジョンっぽい、という雰囲気に、リュカ様はキョロキョロしている。ここは職員が配置されていない、不人気ダンジョンだ。なぜ不人気なのか。それは、
ぬちゃあああ。
「ヒッ!」
所々にある水たまりから、泥人形が現れる。ここはひたすらゴーレムが現れるダンジョンなのだが、なんせ
「
ランドスケイプLv2の、サンディソイル。辺り一面を砂地に変えることができる。効果面積は、INT㎡。水たまりを砂地に変えられた泥人形は、即座にコインと粘土玉に姿を変える。この粘土玉が、「防汚」
「砂…すごい…」
「そうですよ、リュカ様。土属性とは有用なのです」
頬を紅潮させて、興奮するリュカ様。まだまだこんなもんじゃないぞ。さあ、レベルアップのお時間です。
「
僕は杖を振り振り、地下二階を目指して歩く。ドロップ品は黙って収納だ。リュカ様はしばらく呆然としていたが、「待って」と駆けて来る。
ここはフロア全体を見渡せるダンジョンだ。全体攻撃すれば、これらも全て一撃で綺麗になるんだけど、今日は生憎リュカ様連れ。とりあえず、徒歩で2階まで。2階は
「さあ、行きましょう」
泥だらけの1階を超えて、2階までやって来る奴はいない。チートを伝授するなら、人のいない場所でだ。
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