第55話☆交流試合
もう駅からの道も慣れたもので、マップを見なくても、考え事をしながらでもたどり着けるようになった。隣にいる咲来はマフラーで口元まで隠れ、少しでも冷たい外気に触れまいとしている。緊張しているかどうかは見て取れないけど、今日の試合を楽しみにはしているはずだ。
交流試合も3回目となり、高校一年生最後の試合になる。上位の大会があるわけではないので、勝っても負けても今日一日の試合だ。ある意味気楽に戦える試合でもあるけど、それでもこれまでの練習の成果を試す貴重な機会に少しのプレッシャーと期待が募っていく。
「私Gグループだ」
「あ!私もあった。今回は紫苑女子の安田さんかー。あとのメンバーも強い人だといいな」
「前田ちゃんのグループ毎回強豪校入ってるよね」
「へへっ。私、引きはいいの」
トーナメントで強豪校ばかり当たるときついけど、こういう試合ではハイレベルな選手と当たっておいた方がいい。
あとの2人は2年生なのでキャリアは上かもしれない。そうだといいな。
Bグループ
千城学園 2年 井上ひかり
川崎中原 2年 新井美紀
朝日丘 1年 前田陽菜
紫苑女子大附属 1年 安田葵
この前の新大久保で高山さんと連絡先を交換していた。なぜかあかねも交換していたけど、いつ連絡取るつもりなんだろう。
私も普段連絡することはないけど、試合前日は気持ちが高ぶって連絡したくなってしまう。
”明日の試合、同じグループだといいね”
”そうですね。こればかりは運ですが”
”当たったら次は勝つからね”
”はい。私も全力で戦います”
残念ながら今回は同じグループではなかった。Hグループに名前があったので、Gグループで咲来の試合がなければ観に行けそうだ。
「咲来のグループは…。え、白浜女子じゃん!」
「有名なとこ?」
「千葉の強豪私立だよ。ほら、南関東大会にも出てた…」
Gグループ
白浜女子 2年 岩田結菜
戸田緑町 2年 佐藤美咲
朝日丘 1年 大塚咲来
緑ヶ丘学園 1年 大橋未来
そうだ、岩田結菜だ。投げ技を得意としていた。確か2回戦敗退だったような。つまり南関東のベスト8だ。
「南関東に出てた、強豪校の人」
咲来はプログラムの岩田結菜の名前から目を離さずに言った。間違いなく関東圏トップクラス。来年は3年生なので全国行きを争う選手に入ってくるだろう。さすがに強敵過ぎるか。
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