六時の夢、零時の夢

日野唯我

Ⅻ.プロローグ

 お前のせいだよ。そう呟くと俺はまた頬杖をつき直した。冷えた左手が頬を冷やす。こうでもしないと冷静になれないんだ。温まって来た左手を机に落とし、今度は目にかかりかけた前髪を伸ばす。さっきからずっと、こんな風に無駄な行為を繰り返している。劣等感と焦燥感、そしてそれとは違ったまた何かの感情が俺の脆い自尊心を崩していく。


気が付くと、時計の短針と長針は盤面の頂点で交わろうとしていた。ああ、もうそろそろで明日になるな。眠くない目を無理矢理こすってみたが、自分自身は騙せない。脳内を、奴の歪んだ笑顔が駆け巡った。


 こんなはずじゃなかった。違う、違う…。

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