幽霊屋敷ノ真夜中
畢
Introduction
【屋敷内】
夢現「幽レ〜。屋敷の外れの森にね、人間の気配がする」
幽レ〜「人間の気配……ですか……?御主人、いつぶりでしょう……」
夢「うん、いつぶりだろうね?人間が外れの森に入って屋敷へ近づいてきてる」
幽「この御屋敷へ……。一体、何者……?」
夢「女の子ね」
幽「追い返しましょうか……?」
夢「幽レ〜。見てきて?幽レ〜が直接ね」
幽「わたしが直接……?ゴースト達ではなく……?」
夢「そう。幽レ〜が行って。人間の女の子、森に迷わずこの屋敷へどんどん近づいてきてるね。普通の人間なら外れの森に入り込むこともないし、森を抜けることはないね」
幽「……!分かりました。見てきます」
夢「うん、幽レ〜、よろしくね」
【森を抜けた屋敷の庭】
依ル「はぁはぁ...やっと、ここまで来れた。呪いのお陰でここまで来れたのは好都合だったわ…。あの森、普通なら森が絶対に襲いかかってくるじゃない...この呪いはそこまで影響するの...?」
幽「(……本当に人間の女の子。外れの森から無傷でここまで……)」
依「ねえ、そこの幽霊さん。私ね、貴女のことが視えてるの。あなたは女の子の幽霊。眼鏡をかけてる。それに貴女の奥の方からは別の気配も感じるわ」
幽「あなたは、わたしとわたし以外にも視えているものがあるの……?」
依「視えてるわ。大きな屋敷の2階の窓から貴女が出てきて、ここまで降りて移動してくるのも全部ね」
夢「全部……。あなたの名前は?……ここへ来た目的は……?」
依「私の名前は依ル。目的は呪いを解くこと。この屋敷の主人にしか解けないって知っているの。魔女に呪いを受けてその呪いを解ける存在。それが奥の屋敷の主人だってことも」
幽「お屋敷の主人……わたしの御主人……?」
依「貴女の存在も重要なのよ。私の受けた呪いを思えば今こうしていること自体あり得ないの。教えてあげるわ。呪いの名前を」
幽「わたしの存在も……?わたしはただ、この御屋敷で御主人に仕える幽霊……」
依「呪いの名前は夢現病。別名、独りの真夜中。誰とも関われない独りの夜を強いる呪い。貴女の主人は呪いを解かない限り、誰とも関われないはずなのよ。もちろん、幽霊の貴女であってもね。だからその呪いを受けている私が貴女と話せることもおかしなことよ」
幽「御主人はわたしに名前をくれて……そのときからわたしは御主人にずっと仕えてる……」
依「貴女の主人は呪いを解いたのよ。だから私はここへ来たの。お願い、貴女の主人に会わせて!」
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