12月31日続き

俺と和もホッと一息つこうとした時、これまで何の動きも見せてこなかった二本のマグロが同時に暴れ出した。これには俺も和もビビり散らかし俺は包丁を、和は木刀を必死に振った。俺は塩水を与えていたからかより元気よく暴れているように見えた2本目のマグロに何とか包丁を突き立て、しばらくしてから動きが止まったのを確認すると和が殴っていた3本目のマグロを見た。そこには折れた木刀を持って唖然とする和と、本来尾びれがある位置から二本の立派な足を生やしたマグロがいた。


恐怖しかなかった。二足歩行するマグロには和が殴ったことによるダメージが残っているようでふらふらとした足取りで和に近寄っていた。俺は目の前のマグロに突き立てた包丁を無理やり引き抜いて、歩くマグロの背中に突き立てた。マグロは人間が刺された時のように体を震わせながら振り返り、俺に正面を向けるとまた目から液体を流して倒れた。後に残ったのは雑な扱いをして折れてしまった木刀と包丁、そしてマグロの生臭さだった。まさか包丁まで折れるとは思ってもみなかった。結構高かったお気に入りの包丁だったんだぞこんちくしょう……。



この後まだ土にギリギリ埋まっていたマグロを引きずり出すと、やはりというべきか他のマグロと比べると少し小さいがちゃんとした足と腕が生えていた。そして、和が殴っていた3本目のマグロと最初に地面から出たきたマグロの指には指輪のようなリングが嵌まっていた。つまりだ、この3本のマグロは家族であったらしい。

なんとも後味の悪い結果だが人の家に勝手に生えておいて文句言うな、というかそもそもなんでマグロなんだよ。とりあえず無事に和と年を越せそうで今は安心している。

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