書きたいとこだけ

内なる茶器を解き放て

始まり

0.リコ

柔らかな陽射しが、開墾された道に降り注ぐ。

人や馬車に踏み固められて土色になったその道は、大きな森を東西方向に突っ切っている。


その端、森と道の境目。

立派に育った木が、あるいは切られた跡の切り株が、またあるいは新たな若木が、人の領域と獣の領域を分けている、境界線。


立ち並ぶ木々のうちの一本。

さも座るためにあつらえたかのように根が地を這っている、その木の根元。


黒髪の少女が、身体を横たえていた。

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