第5話 猫にランセル

ラミとシェルが激しい戦闘を繰り広げている頃


ネメルらを裏切り、ラミの部下となったキャッツとネメルの部下であるガイルが交戦していた


魔導脚まどうきゃく


ガイルの足が黒いオーラに包まれ蹴りを放つとキャッツの体がガイルの蹴りに引き寄せられる


「うっ...しびれるなぁ...」


キャッツは引き寄せられたが、落ち着いて蹴りを防ぐために両手で受け止めた


「俺の技を知ってるだけあって冷静だな」


「相変わらず、厄介な蹴りだなぁ...」


キャッツはガイルを押し返すと両手の全ての爪を鋭くたててガイルに襲いかかる


魔導脚まどうきゃく


「また...くそっ!!」


キャッツは攻撃を止め後退する


「俺の脚に苦戦してるな...今なら裏切りを取り消しても良いんだぞ?


俺が一緒に頭を下げてやる、お前のことは家族同然に思ってるんだ」



ガイル


彼は基本、心優しくネメルの命令に忠実なことを除けば害はない


脚に魔力を込めて、相手の体内の魔力を自身の魔力に引き寄せる原理で生み出されているのが魔導脚まどうきゃくである



ガイルはキャッツを妹のように可愛がっていた


だからこそ、情けをかけているのだ


しかしキャッツは、ラミを選ぶ


「ごめん、私はラミ様が良いの!」


「そうか、ならせめてネメル様に苦しめられないように俺が倒してやる」


「ありがとう、負ける気はないけどね」


ラミは案外、キャッツを嫌がりながらも相手をしてくれている



シールド シュラ時代


キャッツは、ネメルからのシュラへの献上品けんじょうひんを届ける役割をになっていた


「げっ...キャッツ、献上品ありがとう」


ラミはキャッツから献上品を受け取るとお辞儀をする


「どうぞお帰りください」


「ラミ様、そんなこと言わず私空いてますからお手伝いさせてください!」


ラミとキャッツが会うといつもこうなので周りからしたらいつもの光景である


「...なら、リャク様の部屋の掃除をするので一緒にしてくれますか?」


「はい!」


「助かります、これで私にべったりじゃなければ最高なんですが...」


ラミは少し嬉しそうに呟いた



こんな感じのエピソードがたくさんある


だからこそ、キャッツは主とラミを天秤にかけた時、ラミを選んだのである


ラミのために尽くしたかったから


キャッツからしたら良い機会であった


「まずは、魔導脚まどうきゃくをどうにかしないと...」


「キャッツ、俺が脚だけだと思ったら間違いだぞ」


ガイルは右手を前につき出すと魔力を込めて威力を高めたエネルギー弾をキャッツに放った


「わぁっ!?」


想定外の攻撃にキャッツは、横に転がり避けるが態勢を崩した


「油断大敵...隙だらけだぞ? 魔導脚まどうきゃく


「ぁぐ!?」


キャッツは腹にもろにくらい後ろに軽く蹴り飛ばされ地面にうずくまる


「お前はネメル様に守られていたんだ、ラミに寝返った時点でお前は弱くなった」


「だ...まれ...!!」


キャッツはお腹を押さえながら立ち上がる



その頃、パール


「あれ? ランセルが光って...あ!?」



ランセルは何かに引き寄せられたようにパールの手の中から飛び出し、キャッツの体内に溶け込んだ


「なっ!? ランセルがキャッツの体内に...何が起きたんだ!」


ガイルも突然の珍しい現象に動揺していた


キャッツだけは驚いていない、何故か落ち着いていた


「あれ? ランセルが入ってきてから魔力が上がってくる...」


これには、小手調べで戦っていたネメルとリャクも驚いていた


「...よく分からないが、ランセルはうちのキャッツのものになったな


ネメル、残念だったな..もう止めないか?」


「うん、君らは僕を怒らせたね? 後悔しても遅いよ」


その頃、ガイルは動揺しながらも飛びかかった


魔導脚まどうきゃく


猫神様ねこがみさま


すると、キャッツの背後に大きな招き猫のように見えるオーラが現れた


「招く幸運」


キャッツがガイルの蹴りをくらう寸前に呟く


「がはっ...!?」


すると、ガイルの腹にエネルギー弾が飛んできて直撃して吹き飛ばされる


「キャッツ、よく分かりませんが今の貴女は私と同等と言えます」


そう、シェルを早めに片付けたラミがガイルに不意打ちを仕掛けたのだ


「二対一、上等だ」


ガイルはそう言い放つと全魔力を右足に集中させる


「キャッツ、決めてみてください」


「はい! ラミ様!」


キャッツは両手の爪を鋭く立て爪とぎをする


「くらえ!! 全破魔導脚ぜんぱまどうきゃく|!」


ガイルは右足に全魔力をこめるとキャッツに飛びかかり頭部を狙った空中横蹴りを放つ


「はっ、とりゃっ、」


キャッツはガイルの体をバネに空中に飛び上がって蹴りを避けるとそのまま両手の爪をクロスさせる


動きが手早くてガイルには一瞬でいなくなったように見えた


「なっ!?」


招猫爪しょうびょうそう!」


キャッツはクロスした爪をガイルの胴体をとらえるとクロスをガイルを引き裂くように解除した


「がはっ...」


ガイルは致命傷にはいかないものの重傷を負い敗北した


「キャッツ、今日から貴女は私のものです」


「はい! 何でもお申し付けください!」


キャッツはラミの一言に嬉しそうに敬礼した


勝者 キャッツ



残されたのは大将戦


ガイル、シェルが撃破されるまでずっと、両者一歩も引かぬ小手調べを繰り広げていた


「残るは一人だな」


「リャクって戦いの時は口調が強くなるよね...怒りがあると戦いが冷酷になる僕とは共通点があるのかな?」


「分からないなぁ...とりあえずネメル、お前を倒す!」


「君を倒して他の二人も倒させてもらう...それ相応の罰を与えてあげる」


こうして激しい大将戦の幕があけた



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魔界の中立組織のリーダーは大変です いっくん @iku555

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