新釈・白雪姫

夢月みつき

第1話「白雪姫と継母と…」

むかしむかし、あるところに白雪姫と言う、白雪のように肌が白くて可愛らしいお姫様がいました。

白雪姫は、母の王妃様が願った通り、白雪のように白い肌、こくたんのように黒い艶のある髪、血のように赤い頬をしています。



白雪姫は、赤ん坊の頃に王妃様と死別して、その後、父親の王様は後代わりの王妃様を迎え入れました。


しかし、その女性は魔女で、意地が悪くとんでもない継母だったのです。

それは、自身の美しさを鼻に掛け、白雪姫をいじめていました。


ある日、お城の薄暗い一室で、壁に掛った大きな鏡に向かってこう言います。

「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのはだあれ…?」

すると、鏡が男性の声で、うやうやしく応えました。



「世界で美しいのは、貴女様でございます」

「ホホホ、やはり美しいのは、このわたくしだけ!」

それから少し時間が経ち、また王妃は、鏡に向かってたずねます。


「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのはだあれ?」

「それは、白雪姫でございます」

「なんですって!?」



王妃は、嫉妬で怒り、王宮付きの狩人に命じました。

「狩人よ、白雪姫を森に連れて行って殺しておしまい!」


「ははっ!おおせのままに」

狩人は、白雪姫を連れて森に行き殺めようとしました。



しかし、白雪姫は涙を流して命乞いをしました。

「お願い!私はまだ死にたくないの。見逃してくれたら、森の奥に入ってそこで暮らします。二度とお城には、戻りません」


狩人は、白雪姫が可哀想になって逃がしました。

けれど、王妃から受け取ったハンカチに白雪姫を殺めたと言う証拠の血を含ませて帰らなければ、自分の首が飛ばされてしまうし、王妃の追手が白雪姫を追い詰めるでしょう。



狩人は、茂みから出て来た小鹿が目に入りました、が。

ナイフで自身の手のひらを切ると、ハンカチに血を含ませ、お城に戻りました。


そのハンカチを白雪姫のことを殺めた証拠として、王妃に見せると王妃は、にやりと邪悪な笑みを浮かべ安堵しました。





一方、逃げのびた白雪姫は山の中に小屋を見つけていました。

お腹が空いていた彼女は、たまらなくなって、お皿に乗っていたパンを食べて、七つあるベッドのうちの一つに横になりました。



しばらくすると、森の奥から七人の小人が帰ってきました。

起きかけている、白雪姫の耳にがやがやと、誰かの話し声が聴こえてきました。


「何て綺麗なお嬢さん」

「でも、おれのパン食べられた」

「パンはまた、焼けばいいわよ」


「ぼくのベッド、とられた…」

「ソファーで寝れば?」


白雪姫が、目をぱっちりと開けてみると、七人の小人がベッドの周りに集まっていました。


そして、しばらくして王妃は鏡にまた聞きました。

「鏡よ、鏡。世界で一番、美しいのはだあれ?」

鏡はまた答えます。



「それは、森の奥で暮らしている白雪姫でございます」

鏡は、小人達と楽しく歌って暮らしている白雪姫の姿を映しました。

「死んでなかったのか!あの小娘」





王妃は、毒リンゴを作り、魔法で老婆の姿に変身すると白雪姫が住む森へとやってきました。

しかし、この森はただの森ではなかったのです。

ゴースト達がうじゃうじゃいました。


「ひええっっ!なんだ、この森は」



王妃は、白雪姫のいる小屋の方向に逃げようとしましたが、背中の籠にたくさんのリンゴを背負ったリンゴ農家のゴーストが現れて、王妃が持っている毒リンゴの臭いを嗅ぎ分けます。


『これは、毒だな!可愛いリンゴに毒なんぞ入れやがって!リンゴの恨み、思い知れ!!!』

怒り心頭のリンゴ農家の手によって、王妃が持っているリンゴは奪い取られ王妃の口に押し付けられた。



「ムグー!」


必死に抵抗する王妃。しかし、王妃の舌にリンゴが触れてしまいました。

強力な毒でしたので、王妃はそのまま、ばたりと倒れて亡くなりました。

ゴースト達は、魔女を打ち取り、喜び勇んで帰って行きました。


森のゴースト達もまた、小人達と同じく白雪姫の美しさと、優しさに惹かれた“白雪姫親衛隊”だったのです。


そうとも知らない白雪姫は、七人の小人達と花畑で花を摘んでいました。

すると、そこに王子様が通りかかって、姫に一目惚れをしてしまいます。

「ああ、何と美しく可憐なひとだ。私は、隣国の王子です。私の国へ一緒に来てくれませんか?」



「でも、小人さん達が……」

そんな優しい姫を気遣って、小人達は口々に言います。


「白雪姫、ぼく達。たまに遊びに行くから、王子様のお嫁さんにしてもらいなよ」

それを聴いて、白雪姫は安心して、王子様の隣国へと嫁ぐことになりました。


白雪姫と王子様は、結婚をして末永く幸せに暮らしました。

そして、あの王妃の鏡は、魔法の鏡としてお城の人達に重宝されていると伝えられています。



<終わり>


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

最後までお読み頂いてありがとうございます。

◆魔女、白雪姫の元に届かず。

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