第5話 あの人とあたしの現実

 そんなふりをした。


 私は、静かに日記を閉じると、消えそうな声を出した。

「私のメンタルを保つには、これしかない。」

 

 私だって、分からなくて、知らなくて、都合のいい女枠にいるわけじゃない。

ただただ人の温もりをあの人と共有したかっただけ。だから、今ここにいるんだ。


 馬鹿でも天然でも鈍感でもない。瘦せ細ったこの体を誰がアイしてくれようか。こんな半端もので、価値のないものを。



 目をつぶり、思い出す。


 男の腕につかまり、押され、ベッドに横たわる。男は、どんどん服を脱がせかせかしている。まるでサルだ。


 私だって、魅力があるんだって思いたい。それには、この方法しかなかったのだ。

 

 ≪あの女の眼中に入るには。≫


――あとがき――


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あの人とあたし 晶の華 @yakan20

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