氷雨が降り注ぐ中で
入江 涼子
第1話
私は今年で、とうとう四十路に近くなった。
もう、三十七歳だ。夢を見ていられない。去年に彼氏と別れてからは侘びしい独り身だ。仕方ないから、スマホでウェブ小説や二次創作などを読み漁る毎日を送っている。特に好きなのは悪役令嬢転生ものや異世界ファンタジーだ。まあ、現実にはあり得ないから面白いのだが。そんなこんなで今夜も好きな作家さんのウェブ小説を読んでいた。
(あーあ、こんな完璧な王子様がいたら。苦労しないんだけどなあ)
そう思いながら、ため息をつく。スマホをタップして待ち受けの画面に戻す。テーブルにあったノンアルコールのチューハイをクイッと呷る。あー、やっぱりこれが一番ね。近くにあったサラミを摘みながら、ちびちびと呑む。一人暮らしだから、気ままにこういう事もできるが。
明日に響くから、これくらいにしておこう。考えながら、チューハイの中身を飲み干した。後片付けをして浴室に向かう。シャワーを浴びる準備をするのだった。
ひとっ風呂浴びて、スッキリする。翌日のために必要な物を用意した。愛用しているショルダーバッグにそれらを入れたり、着替えを用意する。一通りできたら、寝室に行く。さて、明日は会社だ。スマホの目覚ましアラームを設定する。そうして眠りについた。
翌朝、朝の五時半に目を覚ます。まだ、アラームは鳴っていない。スマホの画面をなんとはなしに見る。
二度寝もできないので起き上がった。スマホを片手に持ちながら、寝室のカーテンを開けに行く。五時半だからか、まだ辺りは暗い。寝室の明かりをつける。そうしてから、スマホの充電器を探した。すぐに見つかるが、スマホの下側にある差込口に充電器のプラグを差し込む。コンセントもしてから、充電を始めた。寝室を出て、洗面所に行った。歯磨きや洗顔を済ませて次にキッチンに行く。
簡単にマグカップにインスタントコーヒーの粉やお砂糖を入れる。電気ポットのお湯も加えて、ティースプーンで混ぜた。冷蔵庫から牛乳パックも出してマグカップに投入する。再度混ぜてカフェオレにした。
キッチン台の下にある棚からパンも出す。デニッシュパンを2枚出してオーブントースターを開けた。網の上にそれを置いてレバーを回す。時間を設定したら、マグカップはテーブルに置く。フライパンも出したら、冷蔵庫からベーコンや卵、野菜類も出してくる。フライパンを火にかけて先にベーコンを焼く。カリカリになったら、お皿に取った。次に油を引いて目玉焼きを作る。卵を割って落としたら、水を少量入れた。弱火にして蓋をする。しばらくはそのままにした。次に野菜類もとい、トマトやキュウリをまな板に置く。包丁で輪切りにしたら、小鉢に入れる。レタスを2枚程ちぎり、手で一口大に裂いた。小鉢に盛り付け、トマトやキュウリを上に置く。ドレッシングをかけたら、オーブントースターの目盛りがゼロになる。完了を知らせる音が鳴り、お皿を持って取り出しに行く。菜箸でデニッシュパンを出してお皿に載せた。目玉焼きも完成したのでベーコン入りのお皿に盛り付けた。
「よし、朝ご飯はこれでオーケーね」
一人で呟きながらもカフェオレにサラダ、ベーコンエッグ、デニッシュパンのトーストを見て悦に入る。フォークやスプーン、バターやジャムを用意したらパンに塗った。朝ご飯を食べる。
うん、カフェオレを飲みながらのデニッシュパンは良いわね。サラダもシャキシャキしていて、美味しい。ベーコンエッグもなかなかだし。満足して食事を終えた。
ティッシュで口元を拭く。服を着替えたら、メイクを簡単に済ませる。髪をブラシで梳いた。肩まで伸ばしているから、ヘアゴムで後ろに一纏めにする。身支度は完了だ。寝室を出たらスマホのプラグを外した。コンセントも抜いてくるくると巻き、いつもの場所に戻す。スマホや他に必要な物をチェックする。
ショルダーバッグを持って玄関に行った。壁に掛けたコートを着て、マフラーを首に巻く。スマホで時間を見たら、午前七時を過ぎている。ショルダーバッグに仕舞い、パンプスを履く。自宅を出たのだった。
鍵を閉めてアパートの鉄階段を降りた。カンカンと足音を鳴らしながら、アスファルトの道に降りる。パンプスをコツコツと鳴らしつつ、会社に向かう。ピュウと木枯らしが吹いた。もう、十二月も中旬だ。寒いと思いながら、足を速めたのだった。
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