第33話 だまされる側にも落ち度がある。

 私はある一時、ブラック会社に勤めたことがあります。

 社員を平気で殴る会社で、やくざ屋さんとも、その会社は密接につながっていました。


 社長の年収は当時4000万くらいで、自社ビル。証券。その他、不動産を至る所に所有していました。


 そんな社長の金の匂いに群がってくる人たちは大勢いて、はたから見ていると気の毒になることが多かった。


 社長から何かおこぼれがないか、洋服を買ってもらったとか、プレゼントをもらったとか。給料をあげてもらったとか、最後は身ぐるみはがされるのも知らず、彼らは従順に従いました。


 よく見ていれば話がうますぎたり、人相から事の顛末が推測できるのですが、だまされる人というのは長年金銭的に満たされていないから、これを千載一遇のチャンスと捉える傾向にある。


 そんな社長の補佐を1年まかせられ、1つの結論に達しました。

 それはだまされる側にも落ち度がある。

 ということです。


 もちろん、だますのは悪いことですよ。

 馬の鼻先に大きな赤いニンジンをぶら下げて馬を走らすわけですから、馬に落ち度もひったくれもクソもないのですが、どうひいき目に見ても、だまされる側に問題があるように思えてなりませんでした。


 鴨がねぎをしょって社長の会社に入れ替わり立ち替わり訪れて来るので、それはもう会社は儲かって仕方がなかったです。


 もちろん潤うのは社長だけです。

 社員には何一つ還元されませんでした。


 休みも週1。

 たまの休みにも急に仕事が入ったとかで呼び出されたり。

 深夜遅く社長から電話がきたり。

 休出残業代ももちろんないですしね。


 終わりの頃は給料を5万、会社の経営が苦しいという理由で減らされました。


 お金は判断を曇らせますね。

 ある意味、危険ドラッグのような存在に近いのかもしれない。


 正常な判断ができなくなってしまいますし、もっともっと。

 際限がないのも、欲求と似ていて危険だと思います。

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