軒を貸して母屋を取られる(短編)

藻ノかたり

軒を貸して母屋を取られる

■ 軒を貸して母屋を取られる ■


とある遺跡で、古代の遺物が見つかった。それは、人を模したロボットであるが、体は丸々太っており、頭にはトサカのような物がついている。おまけに殆ど裸であり、股間に僅かにライン状の布に見立てたものが巻いてあった。


研究者がやっとの思いで起動させる事に成功するが、ロボットはすぐさま暴れ出す。ロボットは常に「ヒンカクー、ヒンカク―、ツヨケリャイー、ツヨケリャイー」と叫び続けた。研究者たちには、全く意味不明の言葉である。


軍隊まで出張ったものの、どうしてもロボットの狂暴性にはかなわない。街はドンドン破壊されていった。研究者たちが急いでロボットと一緒にあった古文書を解読した結果、狂暴な機械を停止させる命令があると判明する。


本当に効果があるかはわからない。しかし一縷の望みを託して、一人の研究者がロボットの前に立ちはだかった。そして、こう叫ぶ。


「インタイ カンコーク ヨコシン ヨコシン!」


その言葉とともに、ロボットの体は全身が真っ赤に変化をし、まるで激怒しているかのようにも見えた。


ロボットは、最後に「ダンパーツ ハイギョー」と一声発し、木っ端みじんに爆発した。「こんな狂暴なロボットを作るような文明だから、滅び去ったんだろうな」研究者たちはそう思った。


”類似したものが次々に発見されたら、世界は滅びてしまう”と考えたその国の政府は遺跡を埋め戻した。円が描かれている台の上に、柱のない屋根が設置された不思議な遺跡を。

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軒を貸して母屋を取られる(短編) 藻ノかたり @monokatari

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