Purifine/ピュリファイン

甲斐てつろう

Part1 思い知る

#1

 強い雨の降り頻る新都市アストラル、科学の発展したサイバーパンクな近未来都市アストラル。そのカラフルなライトに照らされた街の中心で一際大きな光が一点を照らした。


「オォォォ……」


 そのサーチライトに照らされたのは異形の怪物。機械と人間が入り混じったような姿をしていた。


「目標を確認、これより駆逐にあたる」


 そしてサーチライトが装填されたヘリから三名の戦士が地上に降り立つ。彼らは浄化警察ピュリファイン、裏世界へ通ずるゲートから現れる異形の怪物ビヨンドと戦い汚染を浄化する国家の組織である。


「ギュゥオオオンッ!!!」


 現れたピュリファインに対し裏世界の物質を放ち辺りの表世界を汚染しながら攻撃を仕掛けるビヨンド。


「散開っ!」


 ピュリファインの三人は華麗に攻撃を避けて攻撃準備をする。一人の大柄な男性が右腕に着けられた装備、ミニゲートの力を解放した。


「バスターナックル装着!」


 右腕がまるで目の前の異形ビヨンドと同じような形に変型した。その拳で思い切り殴り付ける。


「ゥゴォッ……⁈」


 凄まじい衝撃に思わず怯んでしまうビヨンド。その隙を逃さずに細身の女性隊員が両脚に装着されたミニゲートの力を解放する。


「アマゾネスレッグ装着!」


 両脚に大柄の男性隊員と同じようにビヨンドのような脚が装着される。その両脚をしならせ日本刀のようにビヨンドを切り裂いた。


「グギィィッ!!」


 そのダメージによるストレスなのかビヨンドは発狂し大柄な男性と細身の女性を思い切り突き飛ばした。これだけダメージを与えてもまだ力が残っている。


「痛ったぁ……」


「やるなぁ」


 それでもまだ余裕そうにしている二人。その理由はこの男がいるからだ。


「二人とも下がって下さい」


 前に出るのはリーダー格の他と比べて小柄な青年。

 彼は胸にあるミニゲートを解放しその武器を手にした。


「ソルジャーソード装着」


 まるでビヨンドの身体のような刀剣を胸部から取り出し構える。その姿は非常に凛々しかった。


「後は僕が仕留めます、はぁっ!」


 勢いよく駆け出した青年はソルジャーソードから伝わるエネルギーで身体を蒼白く輝かせながらビヨンドを徐々に斬って行く。


「グギッ……」


 その勢いに圧倒されビヨンドは何も出来なかった。次々と身体を斬られて行き虫の息となる。


「すまない、君に恨みはないが我々が生きるためだ」


 そうしてソルジャーソードを掲げ思い切りトドメの一撃を放つ。


「グギャアォォォッ……!!!」


 そのままビヨンドは倒され一連の騒動は幕を閉じた。……と思っていた。


「ん……?」


 そこへある男が乱入してくる。


「はぁぁぁっ!!!」


 その男は真っ黒い戦闘服にガスマスクを着けていた。拳から赫黒いオーラを放つ鋭利な爪を生やし攻撃してくる。


「くっ、やはりエリア13のダーティアの仕業か……!」


 ピュリファインの青年はそのダーティアと呼ばれた黒服の男と激しい戦闘を繰り広げるのだった。

 一体彼らは何者なのだろうか。

 ・

 ・

 ・

 一方その様子が中継されているニュース番組をテレビで見ている青年が一人。


「うわっまたダーティアだったのかよ! やっちまえそんなヤツら!!」


 その逆立った茶髪にピアスを開けた少し派手な身なりのその青年はテレビに映るピュリファインを応援していた。

 すると家事をしている母親の声が聞こえる。


「ちょっとマイク、あんたピュリファインも嫌いって言ってたのにどっちの味方なのさ?」


「どっちも嫌いだよ、でもどっちかと言えば俺たちから家を奪ったダーティアの方が嫌いだね。だから今だけピュリファインを応援してんだ」


 その青年、マイク・ディケンズは母親と二人でビヨンドやダーティアにより住む所が汚染された難民たちが暮らす仮設住宅にいるのだった。






 つづく

 

 

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