所得が魔王の手下。

nyao2

所得が魔王の手下

俺の名前は(未定)。二十二歳。

大学受験に失敗してから引きこもり、ほぼニートと化しているところ。

しかしそれをみかねた母が(強制的に)バイトに募集して俺が働くこととなった。


その後一週間、家でのんびりすることも許されず、母が送り迎えをするため抜け出せもせず働き続けた。

今日がバイト最終日やっとこの束縛から解放されると思うと羽が生えて天国に行きそうである。


窓の外ではすでに陽が落ちている。

今から店長が一人一人に例の封筒を渡すところである。


それよりも俺は家に帰ったらのことを想像して浮かれていた。

まず布団にくるまり、最近できなかったスマホゲームを見て…ふふふっふっふ…


店長がこっちに来たので緩みかけた頬を元に戻した。

店長の手には封筒が、そしてそれが俺に差し出される。

「(未定)はよく頑張ったな。はい、給料だ。」


俺の手にかかるずっしりとした感触。

それを手にした俺は意外と重く、厚いことに驚く。


…まず帰ったらこれを開けよう。

そう計画に付け加えた。



家に帰って来ました。

さて、俺はいくら稼いだのでしょう!


靴を脱ぎ捨て鞄を放り、俺は自室へと続く階段を駆け上がる。

コンマ0.5の早技で扉を開け、体を捻り、ベットにダイブする。

手には膨らんだ二角封筒。


座り直して封筒の封を切る。

糊の剥がれる音も心地よい。


封筒を開き手を突っ込み、中にあるものをしかと掴む。


そして勢いよく取り出した手には黒くザラザラした物体、それが何と動いた。


「よう」


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