第2話 フレアザウスの戦闘人形 名前



 戦ばかりの国、フレアザウス。


 国はいくつかに分裂して、絶えず争いを繰り返す。


 その国で作られた機械人形ササは、とある王子を護衛するための特別な存在だった。


 王子は国を平常にしようとしたが、なかなかうまくいかない。


 そのため、いつも命を狙われていた。


 ササは、そんな王子を守るために、必要な存在だった。


 必要とされていることに、道具であるササは喜んだ。


 その世界にはたくさんの機械人形が存在する。


 しかし、量産するために素材は安価だったため、ササのような存在はめったにいなかった。


 最高級の素材に、特別頑丈な鎧。


 高性能の頭脳。


 それらを兼ね備えたササは、とても優秀な機械人形として、王子を守り続けた。


 ササはその日々を誇らしく思っていたが、そんな日常は、たった数年であっけなく終わってしまった。


 なぜなら、次世代の高性能機械人形ができたからだ。


 古くなったササは、捨てられる運命にあった。


 どうせ焼却される運命なら、王子自らの手でとどめをさしてほしい。


 そう願ったササは、王子にその思いを伝えた。


 しかし王子は応えなかった。


 道具が人間の手を煩わせるような事はあってはならないからだ。


 王子はさっさと新しい人形を選びに行ってしまった。


 だから、ササはひっそりと、他の機械人形と共に、焼却されることになった。


 最後の炎に包まれる瞬間、ササは王子の名前を知らないことに気が付いた。


 ササは王子を守れる仕事に誇りを持っていたが、それは仕事に対してだけたった。


 王子の事は一つ理解していなかった。


 だからこうなったのは必然なのだと、ササは燃え尽きる破片となりながら理解することになった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る