来世でも、君といられたら。

月島ノン

第1話 異世界転移

土砂降りの中、高い橋の上で誰か話している。


「愛しております…レド様…」


「俺もだよ…サヤ…来世でも添い遂げることを誓ってくれるか…?」


「もちろんでございます…私からも言わせてくださいませ。来世でも私を愛してくれますか…?」


「聞くまでもないだろう?誰よりも、君を愛するよ…」


二人は下を見る。 


「レド様、足がすくんでしまいます…!」


「大丈夫…俺がいる…さぁ、行くぞ。黄泉の国へ!」


二人は橋から飛び降りた…


…………………………

明るく真っ白な空間で、レドは目を覚ました…


「ここは…黄泉の国か…?」


「いいえ、残念ながら違ういます…」


声の方を向くと、翼が生えた美しい金髪の女性が立っていた。


「誰だ!?妻はどこにいる!」


「あなたの奥様は…私の世界に居られます…」


レドは、しばらく言葉の意味を考えた後、口を開いた。


「私の世界ということは…あなたは神の類いか?」


美しい女神は頷く。


「私はあなたが居た世界とは別の世界の神なのです。」


「別の世界が存在するのか…無礼を働いた。申し訳ない…」


女神に頭を下げる。


「いいえ、良いのです…あなたの奥様は二十年ほど前、私の世界に降り立ちました。あなたもその世界に連れていくつもりなのですが…」


「妻が生きている世界があるのか!?」


「はい…しかし、奥様にはあなたと添い遂げた。という記憶はございません…」


「なっ…!?」


レドは驚きとショックを隠しきれなかった。

自分の愛する、そして自分を愛してくれた妻の記憶が無い…


これほどまでに残酷なことはないだろう。


「しかし生きているのだな?それなら会いに行けば、また思いだしてくれる可能性がある…と?」


「はい…あなたと過ごせば、魂が呼応し…思いだしていく可能性はございます。必ずとは言えませんが…そして…」


女神が手を振りかざすと、一つの映像が映し出された。


「これは…!?」


その映像には、確かにサヤの姿が映っていた。


しかし、他の男性と仲良さそうにしている姿だが…


「奥様です。記憶が無い…すなわち、他の男性と添い遂げる可能性もございます…」


「そうか…人として生きているのだから可能性はあり得る…なおさら急がないと!」


そう言うと、女神は微笑みこう言った。


「異世界を生き抜くため、あなたに一つ…''スキル''を与えましょう…何か、手に入れたい力はありますか?」


レドは長考の末、一つの力を選んだ。


「妻を守りたい。左手をかざすと一定範囲にシールドを出せる…そんな力は無理だろうか?」


「…それが望む力でしょうか?」


「ああ。できれば、大きさは調整できるようにしてほしい。」


女神は頷いた後、手を上に掲げ一筋の光を創った。


「これに触れるのです…そうすれば、この力と共にあなたを世界に送ることができます。」


「ここまでの説明、感謝する。それでは、行くよ…」


光に触れると、レドは光に包まれて…その場から消えた。

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