破天荒妖怪異譚
花水 遥
開幕
黒船の来航により、鎖国していた日本には西洋文化が取り入れられ、大いなる技術革新が始まった。
目まぐるしく変化する生活や文化の中で、変わらない恐怖がある。
遥か古来より人々を恐れ慄かせてきた闇の住人。妖(あやかし)の存在である。
かつて暗闇が支配していた夜は、妖の時間であった。
技術が発展しガス灯が発明された。夜の闇が奪われた妖は、人の時間である昼間にも姿を現すようになった。
妖の存在は広く認知され、同時に妖を狩る存在が在る事も広く知れ渡る事となった。
妖を狩る存在、彼等を人は妖狩り(あやかしがり)と呼ぶ。
変わり者の多い妖狩りの中でも、異端児が居た。
風貌は流浪の侍だが、武士道など最初から持ち合わせておらず、酒を飲みながら時代錯誤な日本刀を振り回し、妖を切る破天荒者。
妖狩りの中で最も悪名を天下に轟かせた大うつけ。
ここに記すは、破天荒極まりない彼の生涯である。
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