第12話 花言葉

課長に取り押さえられ仰向けに倒れている宏樹は天井の明かりを見つめる。宏樹は死んだ様な顔で話す「花梨が悪い俺と別れて…こんな不倫野郎と付き合ってさぁ…」と力が抜けた声だった。課長が「振られて当然だ!お前は花梨にずっと手を挙げてたじゃないか!」と言う。宏樹は「俺は花梨だけだ不倫野郎に何が分かる!」と叫んだ。四葉が宏樹の顔面を殴った。四葉は「あースッキリしたぁ」と言う。私はその姿を見て涙が出た。四葉は「花梨はどこにいるの?」と聞く。宏樹が「O市の山」やっと自白した。四葉は宏樹を睨みながら「山で何したの?」と聞く。宏樹は黙ったままだ。また四葉が宏樹を殴ろうとしたが警察の声が聞こえて殴るのをやめた。四葉は「警察がきて命拾いしたな」と呟く。警察が宏樹を逮捕して連れて行く。私たちは警察から事情聴取を受けた。すぐに花梨を探しに行きたいのに…身動きが取れなくて辛かった。警察の取り調べの結果。宏樹は花梨を車に乗せてから山に向かい山で花梨に暴行して花梨を置き去りした事が分かった。花梨は怖くて痛かっただろう。想像したら私は辛くて泣いた。泣く私を四葉はガッシリと抱きしめてくれた。私は現実が受け入れられず意識がはっきりしない中、警察に病院のある部屋へ案内された。きっと花梨の遺体に会うのだろうと思ったら私はまた泣きだした。私を抱き抱えている四葉が「しっかりして優菜!見てよ!」と言う。恐る恐る顔を上げた。よく見ると集中治療室の前のようだ。私は理解できないまま四葉と一緒に集中治療室に入った。ベッドに女性が寝ている。眠る女性の肌は青色や赤色に変色して大きく腫れて傷だらけだった。一瞬、誰か分からない姿だが間違いない花梨だ。四葉が「生きていて良かったね。医者によると意識が戻らないらしい」と言った。花梨は事件後、偶然にも登山客が発見して病院に運ばれた。警察は事件で捜査していたが、花梨は意識が戻らない事件の捜査は難航していたらしい。花梨が生きている。急いで駆け寄り私は花梨に声をかける「花梨!ごめんね早く花梨の異変に気づいてあげられなくて!これから毎日会いにくるから花梨は治すの頑張ってね!」と言った。花梨の目がピクリと動き目が開いた。花梨は泣いていた。四葉は「すごい!起きた!先生を呼んでくる!」と言い部屋を出る。私は泣きながら「花梨、怖かったよね。もう大丈夫だよ」と呟く。それから私たちは毎日お見舞いに通った。花梨は少しずつ良くなっている。花梨は口の中が切れて話すのも難しかったが四葉がたくさん面白い話をしてくれた。四葉には感謝しても仕切れない恩を感じた。お礼をしたい事を四葉に伝えたら四葉は断った。しかし私はどうしてもお礼をしたいと伝えたら四葉はそれなら手料理でお礼をしてと言うので手料理を作り恩返しをする事になった。病院帰りにその手料理を食べてもらう。その前に2人でスーパーに寄り、飲み物だけ買ってアパートに行こうとした。スーパーに入ると麻美に会った。麻美「あれスーパーで会うなんて珍しいじゃん」と言われた。私は「たまにはね」と答えた。麻美が「ここよく課長と不倫相手がくるんだよー」と小さな声で言う。麻美は探偵の素質があると思っていたが、たまたま課長を発見していただけだった。どこで誰が見ているか分からない。私は「見たことは秘密にしといてあげましょう!それから麻美お弁当の中身が彼氏と同じなのバレてるからね〜」と言う。麻美は少し赤い顔をして照れた。麻美が「もうみんなに知られてるなら交際宣言するかな」と言いながら笑う。私は「じゃあまた会社でね」と挨拶を交わして別れた。離れて商品を選んでいた四葉が戻って「友達?とっても明るい子だね」と言った。私は「そうだよー」と答えながらワインを四葉に見せた。四葉はニコッと笑顔を見せた。スーパーの買い物を終えて私のアパートに着く。料理は作り置きしておいた。私が鍋のシチューを温めている時に四葉は私の部屋をジロジロ見て回る。掃除はしたが、そんなに見られると少し恥ずかしい。四葉が「クローバーの鉢だ」と言う。私は「花梨からのお土産でもらったの」と言う。四葉が「クローバーにお願いはしたの?」と聞く。私は「まぁ一応ね」と答えた。四葉が「教えて」と無邪気に聞く。私は「願い事は秘密だよ」と答えた。四葉が「ヒメトモには秘密はなし!」と言う。私は困りながら「じゃあ四葉の秘密も教えて、それなら私も教えるよ」と言った。これで聞かれる事はない。私は四葉の秘密かぁ。ちょっと想像する。四葉は私に近づいてきて右足を大きく前に踏み込み左膝だけを床についた。四葉は左手を胸にあて右手で私の左手をとって「もう僕の秘密気づいてるくせに」と言う。私はドキドキしている。1人妄想を爆発させ恥ずかしくて顔が少し赤くなった。ところが本当に四葉が近づいてきた。私の頭の中は筒抜なのかと少し焦った。四葉は鍋を少し覗き込む。それから四葉は私を見て「おいしそうだね」と言った。私は四葉の視線を感じながら鍋をかき混ぜる。四葉が「優菜は四つ葉のクローバーの花言葉は知ってる?」と聞かれた。「幸運…」と言いかけて私は少し顔が赤くなる。それを見て四葉は私を抱きしめた。それから四葉は私の耳元で「私のものになって」と囁いた。私は頷いた。四葉の綺麗な顔は中性的な容姿で最初は女性だと思っていたが徐々に男性な気がした。あの騒動の時に抱きしめられて男性だと確信した。四葉が「僕の秘密だよ」と言った。

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クローバーは咲かせれる みづほ @ebetennmusube

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