ローエンスの覚醒
「随分と慕われたものね、お師匠さん。あんなにもローエンスに懐かれて羨ましいわ」
「ふん! 当たり前でしょ! ポッと出の姉ごときに私たちが築き上げてきた八年間に勝てると思わないでちょうだい! というかいい加減に解放しなさいよ! 女といつまでも触手プレイする趣味はないわよ!」
「師匠! いま行きます!」
「ああっ♡ ローエンス♡ 私のためにそんなに必死に♡ へっへーん! 思い知ったか魔王の娘! アンタじゃ私たちの固い絆を壊すことなんて不可能なのよ!」
「……そう。なら、その絆を木っ端微塵に壊してあげる♪」
「え? いったい何を……」
「同化しているからわかるのよ──あなたが、ローエンスにいだいている感情の正体が」
「っ!?」
早く師匠を助けないと! とにかく、あの黒い触手を何とかして……。
「ねえ、ローエンス! 良いこと教えてあげましょうか! 知りたいでしょ! あなたのお師匠さんが隠している本心を!」
「え?」
姉さんが邪悪な笑みを浮かべる。
「同化しているから、いやというほど伝わってくるのよ! あなたに対する歪んだ感情がね!」
「や、やめなさい!」
師匠が焦った顔を浮かべている。
何だ? 姉さんはいったい何を言って……。
「ローエンス! あなたが受けていた修行はあなたを成長させるためのものじゃない! すべて、この女の欲望を満たすためだけのものだったのよ!」
「……え?」
「うわあああ! 言うなああああ!!」
ニマァっと姉さんはさらに歪に嗤う。
「おかしいとは思わなかったの!? どの修行もハレンチな内容ばかり! 意味深い理由付けをしていたようだけれど、結局はこの女が喜ぶプレイばかり! ローエンス! あなたの師匠はね! 八年間も修行と称した逆セクハラを楽しんでいたのよ! 変態なのよ! 痴女なのよ! 隙あらばあなたを犯そうとしていた処女ビッチなのよ! あなたを愛してるですって? ええ、そうでしょうね! 性的な意味でね~! あなたは、ただこの変態魔女の性欲発散の道具として利用され続けていたのよ!」
「やぇぇめぇぇるぅおおおおおおおお!!!!」
「あははは! 彼女のこの態度が答えよ! どう、ローエンス!? こんな師匠を命を賭けてまで助けようっていうの~!?」
姉さんによって語られる師匠の隠された本心。
師匠の動揺ぶりを見るに、真実なのだろう。
それを聞いて、僕は……。
「──知ってたよ」
「……は?」
そうか……。
できることなら目を背けていたかったけれど……本当にそうだったんだ。
「何となく、そうじゃないかなって思ってたよ。でも師匠は気づかれたくないみたいだったから、僕も気づかないフリしてたんだ」
「ローエンス……あなた……」
「……で、それが何だって言うんだ?」
「は?」
姉さんが唖然とした顔を浮かべる。
こちらも呆れてしまう。
今更そんな真実を暴露したところで、僕らの師弟関係が壊せると思ったのだろうか。
「逆セクハラだろうと何だろうと、その修行のおかげで僕はここまで成長できたんだ。結果的に偶然そうなっただけかもしれないけど……それでも、僕は師匠に感謝している」
「な、何を言ってるのローエンス! 悔しくないの!? ずっと逆セクハラされていたのよ!? プレイに付き合わされていたのよ!? この女は変態なのよ!? 痴女なのよ!?」
「弟と近親相姦しようとしてるアンタに言われたくないわよ!」
「ああ、確かに師匠は救いようのない変態痴女さ」
「ローエンス!?」
「それでも!」
たとえ、それでも! 僕は積み重ねてきた時間を否定しない!
だって!
「あの日、師匠に拾ってもらえなかったら、僕は死んでいたんだ! たとえ弟子に逆セクハラをする変態でも! それに快感を覚える痴女でも! 師匠は……僕の恩人なんだ! その恩人のためなら、僕は命を賭ける!」
「そ、そんなバカな……」
「……それに、変態だって言うなら、僕だって変態さ」
「え?」
「あの修行を喜んでいたのは、僕も同じってことさ!」
相手は尊敬すべき師匠だから、そんな気持ちになっちゃいけないって言い聞かせてた。
でも……師匠に『愛している』って言ってもらえて、魔王の息子だろうと関係なく僕を受け入れてくれたことで、ようやく自分の気持ちをハッキリと自覚できた。
……そうなんだ。
とっくに、僕の気持ちは固まっていたんだ。
「僕も……師匠が好きです。この世で一番愛しています」
「っ!? ローエンス!」
「まったく。いくら子どもでも僕だって年頃の男なんですよ? 物心つく頃からあんな過激な修行生活をされたら、もう性癖が歪んで師匠以外の女性なんて見えなくなっちゃいますよ。だから……」
抑え込んでいた感情を、最愛の女性に伝える。
「責任、取ってくださいね?」
「ローエンス……末永くよろしく♡」
この瞬間、初めて師匠と心が通じ合えた気がした。
「……何じゃそりゃああああああ!?」
とつぜん姉さんが憤怒の形相を浮かべて叫び出す。
「意味わかんない! とんだ変態師弟ね! はぁーくっだらな! もういいわ! ローエンス! あなたの意思なんてどうでもいいわ! 四肢を切断して、ただの種馬として飼い殺してあげる!
姉さんの影から白い巨体が出現する。
真っ白なカマキリのようなモンスターだった。
明らかに、いままでのモンスターと格が違うことがひと目でわかる。
「力ずくであなたを連れて行くわローエンス! お姉ちゃんを怒らせたことを後悔しなさい!」
「……姉さんは結局、力だけでしか他者と触れ合えないんだね? 魔人族のほとんどが、きっとそうなんだろうね」
「は?」
「僕、いまなら父さんの気持ちがわかってあげられる気がする。父さんは……母さんと出会って本当の愛を知ったんだ。だから和平を結んで、少しずつ魔人たちを変えようとしていたんだ。『自分も変われたんだから、皆も変われる』って信じて」
「な、何を……」
「姉さんは父さんを『最低の魔王』って言うけど……僕にとっては『最高の魔王』だ。争いの歴史を止めようとして、誰よりも平和を願った人なんだから!」
「っ!?」
体が熱い。
全身の血が駆け巡っている。
……そうか。父さん、僕の力は、こうして使えば良かったんだね?
「憎しみで戦うんじゃない……正しい怒りを胸に……大切なものを守るために、この力を使うんだ! 僕は──魔王にはならない! 僕が継ぐのは……平和を願った父さんの意志だ!」
僕の宣告を合図とするように……首元に提げた指輪が光を発した。
「その指輪は……王家に伝わる指輪! どうして、あなたがそれを!?」
姉さんが驚愕する。
そうか。やっぱり、これは父さんが母さんにプレゼントしたものだったんだ。
指輪の輝きが視界に入ると……僕の意識は遠い過去に引きずられた。
『これを君に……私たちの子どもが大きくなったら、これを渡してくれ。きっと、その子が進むべき道を見つけたとき、この指輪が力を貸してくれる』
これは、父さんの声……。
『この子に、幸あらんことを』
はっきりと感じた。
彼の深い、慈愛の心を。
……父さん。ありがとう。母さんと出会ってくれて。僕を、愛してくれて。
僕は、自分の道を進むよ!
意識が現在に戻る。指輪はいつのまにか、僕の指に嵌まっていた。
……感じる。
自分の中で、ひとつの枷が外れる瞬間を。
それは、決して悪しき力ではない。
僕をおかしくする何かではない。
これは……僕だけが持つ、たったひとつの力だ!
「
白い光の奔流が、僕の体から溢れ出す。
それは翼のカタチとなり、全身を守る鎧となる。
信じられないほどのパワーが、身の内から生じるのを感じる。
「な、何なの!? そのデタラメに大きな魔力は!?」
「これは……抑え込まれていた魔力が解放された!?」
「何、ですって? あれほどの膨大な魔力を持っていながら、まだ抑え込まれていたというの!?」
姉さんと師匠が驚愕に震えている。
抑え込まれていた魔力……。それはきっと、僕が本能的に、無意識下で封じ込めていたもの。
未熟な状態では、この力に翻弄されることがわかっていたから。
でも……僕は決めた。この力の使い方を。
僕の決意に応じて、指輪が力を貸してくれた。
自分の限界を解放する、力を。
「……どうしてよ、お父様。どうしてローエンスだけにあの指輪を……私には、何も残してくれなかったのにいいいい!!!」
涙を流して叫ぶ姉さんに合わせて、カマキリ型のモンスターが唸りを上げる。
「やりなさい! ローエンスを切り刻みなさい!」
大型の鎌が迫る。
でも恐怖はない。
血が、体が、父の遺伝子が教えてくれる。
力の使い方を。
「
空間に白い穴が生じる。
一瞬だった。
一瞬でカマキリ型のモンスターは、分子ごと崩壊し、この世から消滅した。
「なっ……」
あまりにも呆気なく自慢のモンスターを消された姉さんは……。
「あは、あははははは! 化け物ね! あなた、私以上の化け物じゃない!」
狂ったように笑い出した。
「それで!? その力で私も殺すの!? でもあなたの愛しの師匠との同化はまだ続いているのよ! 師匠ごと巻き込む勇気があなたにあるのかしら!?」
姉さんにできること。
それはもはや師匠を人質にすることだけ。
確かに先ほどの魔法は使えない。だけど……。
「問題ないよ。姉さんに使うのは……師匠に教えてもらった魔法だけだから」
「は?」
触手に捕らわれた師匠をまっすぐ見つめる。
僕の意図を、師匠はすぐに察したようで、こくんと頷いた。
「……師匠」
「ええ」
「僕、信じてます。師匠なら、耐えられるって」
「耐える? 冗談言わないでちょうだい。私にとってはご褒美そのものよ。八年間、そうやって過ごしてきたんだから」
「はは、そうでしたね。じゃあ、いきます」
「何よ? いったい何を話して……」
「
「なっ!?」
まずは念力魔法で姉さんの動きを封じる。
手足が宙に浮いた状態。
とうぜん、姉さんと同化している師匠も同じポーズを取る。
「しょ、正気なの!? 私に魔法使ったら、同じようにこの魔女もダメージを負うって……」
「
「んひぃ!?」
水の鞭で、バチンと姉さんの尻を叩きつける。
豊満な尻肉がぷるぷると揺れる。
「な、何をするの!? 私のお尻を叩くなんて! こんなことしたら魔女だって……」
「おひぃぃん♡」
「……は?」
「はぁ、はぁ♡ もっとぉ♡ もっとローエンスぅ♡ こんな刺激じゃ足りないのぉ♡」
「は? は?」
「よし、より強いのいきます」
「え? え? んひいいい!?」
もう一度、水の鞭で姉さんのお尻を叩きつける。今度はより強く。
「な、何なの? この感覚は? あなたたち、いったい何をする気で……」
「おほおおおおん♡ これよこれ~♡ これが欲しかったのぉん♡」
「ひえっ……」
戸惑う姉さんとは裏腹に、歓喜の声を上げる師匠。
師匠のそんな様子に、姉さんはドン引きしている。
「欲しい♡ もっと欲しいのぉローエンス♡ もっと激しいのちょうだ~い♡」
「な、何なのよぉ~……あなたたち、何なの~!?」
「教えてあげるよ姉さん。これが……僕が師匠と積み上げてきた修行の成果だ!」
「んひぃ!?」
水の鞭をさらに増やし、姉さんの体に巻き付かせる。
念力魔法で衣服を脱がし、際どい箇所に鞭を侵入させる。
「ちょ、ちょっと! そんなところに入っちゃダメ……ああぁぁぅ! な、何なのこの感触!? 知らない! 私、こんなの知らないいいい!!」
「んふぅ♡ あら、あれだけ子作りとか言っておいて、意外とおぼこちゃんだったみたいね。こういうの初めてかしら? 力抜きなさいよ」
「な、何よ!? こんな真似して許されるとでも思って……あひぃぃぃん♡」
「おぉん♡ 痛みは耐えられても快感には耐えられないようねぇ魔王の娘ぇん♡」
「か、快感? じょ、冗談言わないで♡ 私は『色欲』を司る魔王になるのよ♡ こ、この程度の辱めで感じたりしな……あはぁぁぁぁん♡♡♡」
「にょほおおおおおお♡♡♡ 一番感じるところに来たわあああん♡♡♡」
思い出せ。師匠との修行の日々を。
あのハレンチな修行のすべてを、この一瞬にぶつけるんだ!
「まだまだいくぞぉ! キャディ! 君も手伝うんだ!」
「は~い♡ 喜んでローエンス様♡ というわけで媚薬魔法かけま~す♡」
キャディが媚薬の粉末を頭上から振りまいていく。
「んおおおおお♡ 体が熱くなって♡ このおおお♡ サキュバスごときが魔人に楯突くなんて、あとでどうなっても知らな……やああああん♡ そこ♡ そこはらめぇえええ♡」
「おおおおん♡ ナイスアシストよキャディ♡ いまほど弟子の使い魔がサキュバスで良かったと思った瞬間はないわぁぁぁん♡♡♡」
「そう言っていただけて嬉しいです師匠♡ ではキャディもサキュバスの誇りにかけてがんばっちゃいます♡」
キャディは姉さんに近づき、その蠱惑的な体をなぞる。
「ちょっ!? サキュバス! 何を勝手に私の体に触れて……ふにゃあああああ♡♡♡」
「うふふ♡ 師匠ほどじゃないですけど、エッチな体ですね~♡ ほら、こことか感じるんじゃないですか~♡」
「いやああ♡ やめてえええ♡ 私、魔王の娘なのにぃぃぃ♡ サキュバスごときに感じさせられるなんてぇぇぇ♡ 屈辱ぅぅぅぅ♡」
「おおおおおおん♡ 上手よキャディぃぃぃ♡ あなたはもう立派なサキュバスよおおお♡♡♡」
度重なる快楽責めで、姉さんの顔はすでに正気を失っている。
だが……まだだ! まだこの程度では足りない!
「姉さん! この魔法薬を飲むんだ!
姉さんの胃に、魔法薬の中身を転移させる。
「んあっ! いったい何を……あびゃひいぃぃ♡♡♡ 何これええええええ♡ さっきよりも感度が激しくなってええええ♡♡♡」
「うふふ♡ 師匠とキャディが共同で調合した感度が何千倍にもなる薬ですよ~♡」
「な、何千倍!? ば、バッカじゃないの♡ そんなの飲んだらいくら何でもこの魔女だって発狂して……」
「のほおおおおおおん♡♡♡ しゃいこおおおおおお♡♡♡ この感度が癖になりゅのおおおおお♡♡♡」
「えええ!? 何で壊れないのおおおお♡ 私なんてもう風浴びてるだけで頭おかしくなりそうになってるのにぃぃぃぃ♡♡♡」
「風をご所望かな姉さん! ならばこうだ!
「おおおおおおおお♡♡♡ 死ぬ死ぬじぬううううう♡♡♡ 突風にぶっ殺されるぅぅぅん♡♡♡」
「ぼへああああああ♡♡♡ こんなの初めてえええええ♡♡♡ でも最高おおおおおお♡♡♡」
「狂ってるうううう♡ こいつら全員狂ってるううううう♡♡♡ 助けてお父様ああああ♡♡♡ もうやだ~♡♡♡ これ以上気持ちよくなりたくにゃいのおおおおおおお♡♡♡」
姉さんが助けを請うが、無視する。
姉さんは、僕の大切な人をたくさん傷つけた。
血の繋がった相手だろうと容赦しない。
報いは、受けてもらう!
「まだ終わらせない!
「ぎにゃあああああ♡♡♡ あちこちに手の感触がぁぁあ♡♡♡」
「ぶひいいいいいん♡♡♡ もっと触ってええええ♡♡♡」
「
「うにいいいいいい♡♡♡ 羽でこしょこしょやめてぇえええ♡♡♡」
「ああああ♡ そこそこぉん♡♡♡」
「
「やぁぁあん♡♡♡ ネバネバが絡みついてくるぅぅうん♡♡♡」
「こりゃたまらあああああん♡♡♡」
見たか姉さん!
これが僕と師匠の絆の力だああああ!!
「やだやだぁ♡ こんな形で負けたくにゃいぃぃぃ♡♡♡」
「んほぉ♡ 魔王の娘ルト♡ あなたのは敗因はたったひとつ♡ たったひとつよ♡ それは♡」
「それは♡」
「メスとして生まれたことよおおおおお♡♡♡」
「いやあああ♡ 認めたくないいいい♡♡♡」
「快楽の前では女は無力なのよおおお♡ さあ、開き直ってこの快楽を満喫しましょう♡ はい、ピースピース♡♡♡」
「おほおおおお♡♡♡ いやなのに自然と両手でピースしちゃうのおおおおお♡♡♡」
「ああああん♡ 私の弟子ってやっぱり最高おおおお♡ 好きぃぃぃ♡ ローエンス愛してるうううううう♡♡♡ もっと私を淫らなメスにしてえええん♡♡♡」
「にゃああああん♡ 私もただのメスになりゅうううう♡♡♡ 助けてええええ♡♡♡」
「うおおお! これでトドメだあああ!! 全魔法解放!」
「「どっひょおおおおおおおおおおおお♡♡♡♡♡」」
平行世界の扉を開き、この場で使った魔法を一点の場所に収束させる!
雪崩れのごとく降り注ぐ魔法の嵐!
それを一身に浴びた姉さんは……。
「……もう♡ 無理♡ じぬぅ♡」
とうとう事切れて気絶した。
「……うわぁ」
その様子を、モンスターを倒しきったらしいフィーユがドン引きしながら見ていた。
* * *
触手から解放された師匠の体を抱き上げる。
「師匠! しっかりしてください!」
「ローエンスぅ~♡ もっと~♡」
よし、大丈夫そうだ。
でもこの状態じゃろくに話せないだろうから、リィムさんから貰った特別な魔法薬で回復させないと。
「師匠、これを飲んでください。すぐに元気になれますよ」
「ゴクゴク……ペロッ。これはッ! 母にゅ……」
よし、師匠はもう大丈夫だ。
僕はそのまま、地に倒れ伏して、いろいろドロドロな状態になっている姉さんのもとに向かう。
「あへ♡ あへぇ♡ こ、壊れちゃったぁ♡ 私ぃ、もう元に戻れないぃ♡」
「姉さん」
「ぴぃ♡ や、やぁ♡ 来ないでぇ♡ もう気持ちいいのやらぁ♡ も、もう悪いことしにゃいからぁ♡ お姉ちゃんのこと虐めないでぇ♡」
「なら、約束しろ。二度と僕たちに関わらないって。そして人間たちに危害を加えないと」
「しょ、しょんなぁ♡ それじゃあ私もお父様と同じになっちゃうぅ♡」
「誓えないなら、さっきの続きだ」
「んひぃぃ♡ 誓う♡ 誓いましゅううう♡ ルトはローエンスのぉ……いえ、ご主人様の言いなりのメス奴隷でしゅううう♡♡♡」
瞬間、手の甲に熱が灯る。
……あれ? これもしかしてキャディと同じときの……。
「んひぃぃぃん♡ なにこれえええ♡」
見ると、姉さんの首元に首輪に似た痣が浮かび上がった。
これってもしかして……。
「あらら、ローエンス様ったら。どうやら魔王の娘まで使い魔にしちゃったみたいですね~」
キャディが唖然としながら言う。
使い魔って、魔人を? それも魔王の娘を?
というか、実の姉さんを使い魔にしちゃったの僕?
……ええ~? そんなことある~?
「ど、どうしよう~♡ 私、屈服しちゃった~♡ 弟相手に本気で隷属したがってるぅ♡ 約束破ったら自害しちゃうって体が理解しちゃってるぅぅん♡ はぁん♡ ご主人様~♡ 何でも命令してぇん♡」
「……うん。とりあえず心の整理ができないから、一回魔王城に帰って?」
かくして、魔王の娘である姉さんとの死闘は、彼女を使い魔にすることで幕を閉じた。
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