みじかいはなし

おいでおいで

　窓から海が一望できると人気のホテルの最上階。

　夕飯やお酒に舌鼓を打ち、部屋に備え付けの温泉に入って満足し、ぼんやりとした頭で海を眺めていたら、ゆうらり光るたくさんの白い手に、おいでおいでと手招きされた。

　ひらひらと手を振ったら、皆一様に手を振り返してくれる。

　彼ら、もしくは彼女らと、これ以上無い意思疎通が出来たようで何よりだ。

　まったく、もうすぐそっちへ行くんだから、少しくらい待っててほしいものである。