幻のエリクサーを新米冒険者にジュース感覚でガブ飲みされたので、頭に来てパーティーから追放しようとしたら、他の仲間から猛反対された件について

戯 一樹

第1話



 シールダー兼荷物持ちであるチャラオ・バイブスアゲは、モンスターの群れを前にして笑っていた。

 というより、大ウケだった。

「ちょw w wマジでオークばっかなんですけどwwwつーかどう見ても二足歩行のブタにしか見えないんですけどwwwwww」



「いや、笑っとる場合かあああああああああああ!!」



 と。

 オークの群れに対し、一人だけ前衛に立ってバスタードソードを振るっていた戦士が、チャラオの方を振り返って怒声を飛ばした。

「今戦闘中なんだよ! 笑ってないでお前もオークの攻撃を盾で防ぐとかしろよ!」

「でもソルジヤパイセン、あの顔ウケないっすか? もうホント草不可避ですわw」

「だからオークの顔で笑ってる場合じゃないだろ!」

 ソルジヤと呼ばれた金髪の男は、バスタードソードを構えながら後方にいるチャラオに激昂する。

 ダンジョンの中にいるため、草原のような見通しの良い場所に比べれば、全方位に気を張る必要がない分マシな方かもしれないが、いかんせん前方にいるオーク達の数が尋常ではないため、パーティーの中心であり主戦力であるソルジヤ・テイルズだけでは抑えきれずにいた。

 早くなんとかしないと、最悪、押し切られてしまう危険性がある。

 だというのに、オークの群れと接敵してからずっと後ろで笑っているだけのチャラオに、ソルジヤは心底腹を立てていた。

「お前、シールダーだろ!? こういう時にお前の盾を使わないでどうすんだよ!」

「けどこの盾、けっこう高いんですよねー。ほら、盾の上の方に小さい水晶玉が付いてるっしょ? これ、映像記憶の魔術が掛けてあって、あとで今の状況を見直す事ができるんですわ。なんでソルジヤパイセン、もっと撮り高のある動きでよろたのですw」

「よろたのじゃねぇわ! むしろ俺がお前によろたのしてんだわ! 今すぐ盾で守れっつってんだわ!!」

 などと怒涛のツッコミを入れつつ「オラァ!」という裂帛の気合いと共に眼前にいた一体のオークを斬り捨てるソルジヤ。

「おー、さすがパイセン。無駄に筋肉ムキムキなだけの事はあるっすね。草生えますわー」

「なんでだよ!? そこは普通に褒めろよ!? そもそも筋肉に無駄とかねぇわ!」

「見た目通りの筋肉教信者で草」

「草生やすな! そもそもお前だって巨漢な方だろうが!」

「いやいや、自分の場合はただ細マッチョで背が高いだけのイケメンなんでwパイセンは背が低めのフツメンですけどwww」

「やかましいわ! もう何でもいいからさっさとこっちに来い! くれぐれの背中の荷物だけは奪われないように気を付けろよ!」

「りょ。あ、でもその前に水分補給っと」

 言いながら、チャラオは背負っていたバックから小瓶を取り出してグビグビ飲み始めた。

「ぷはぁ! 美味いんだなこれが!」



「つーかそれエリクサーあああああああああああ!!」



 ソルジヤがオークとの戦闘を中断して、怒号を上げながらチャラオの元へと全力で駆け寄った。

「何してんのお前!? それエリクサーなんだけど!? 世界に七つしかないって言われてる幻の全回復アイテムなんだけども!?」

「あ、うっかりうっかりwまあでも自分も疲れてたんで、これで体力が回復したって思えば安いもんですよwww」

「いやそれ、少量で充分なやつだから! 本来はみんなで飲み回して使うやつだから! それ以前に少しは反省しろって話だかんな!?」

「マジっすか? それを一気飲みしちゃった自分に草生えますわ。エリクサー、、、なだけにw」

「笑えんわ! 冗談にもなってないわ! ていうかこいつ、全然反省してねェェェ!」

「それよかパイセン、すぐ後ろにオークがたくさん来てるっすよ?」

「うおおおおおおおおおおおお!!?!?」

 チャラオのまるで緊迫感のない言葉に、ソルジヤは慌てて真後ろにいたオークを振り向きざまにバスタードソードで一閃した。

 そしてそのまま、強襲してくるオーク達を流れるように次々と斬り捨てていく。

「ひゅー。パイセン、カッケー。おかげで良い画が撮れましたわ〜」

「言うてる場合か! だから盾で守れってさっきから何度も言っとるだろうが!」

「え〜。でもぉ、オレってどちらかと言うと後方から声援を送りたいタイプじゃないっすか〜。戦闘にはあんまり関わりたくない系みたいな?」

「知らんがな! ていうか、だったらなんで冒険者になったん? 応援したいだけならパーティーに入る必要とかなくない?」

「パイセン、遅れてる〜w今は動画で冒険している様子を撮って稼ぐ時代なんすよ。だったら一人で冒険に行くわけにもいかないし、一応パーティーに入る必要があるじゃないですか〜」

「じゃあ別のパーティーに入ったらよくない!? なんで俺のパーティーに入ったんだよ!?」

「なんか他より強そうなパーティーだったんで。これなら撮影に集中できるかなあってw」



「よしわかった! お前もう追放決定!」



 頭上から棍棒を振り下ろしてきたオークをバスタードソードでいなしながら、ソルジヤは声高に告げた。

「動画撮りたいだけのシールダーなんて使えるか! 追放追放!」

「追放ってwww今流行りの追放ジャンルっすかwwwやっべオレ、チート能力に目覚めちゃうwwwwwww」

「何の話だよ!? さてはお前、全然危機感ねぇな!?」

「だってパイセンからじゃないっすよね? 冒険者ギルドでシールダーを探してた時、真っ先に声を掛けてくれたのって。オレをさきにスカウトしてくれたのって、マジョリカちゃんとホイミねえさんのはずっすよね?」

 チャラオの問いに、ソルジヤは「うっ」と痛いところを突かれたとばかりに顔をしかめた。

「パイセン〜。一人で先走っちゃダメですよwマジョリカちゃんとホイミ姐さんにも訊かないとwww」

「くっ。いちいち正論なのがムカつく……!」

 歯噛みしつつ、ソルジヤはオーク達を相手にしながら周囲を見回した。

「で、そのマジョリカとホイミは!? なんでかさっきから見ないんだが!?」



「マジョリカちゃんとホイミ姐さんなら、後ろの方で結界魔術プロテクション張りながら指相撲やってるっすよ?」

「マジョリカさあああん!? ホイミさあああん!?」



 オークに袈裟斬りを放ちながら、ソルジヤは盛大にシャウトした。

「何してはりますの!? というかなんで指相撲!? それ今やらなくちゃいけない事ちゃいますやろ!?」

 思わず西の国の方言が出てしまったソルジヤに、とんがり帽子に黒いローブを着た少女──マジョリカ・エフエフが気怠げに空いている片手で首を揉みながら、

「ちょっとソルジヤぁ。邪魔しないでほしいんだけどぉ。今、もうちょっとでホイミ姐さんを倒せそうだったのにぃ」

「オークを先に倒してェ! 戦闘中だからァ!」

「えぇ〜。だってアタシ、オークみたいなブサイクは嫌いだしぃ。ていうか、生理的に受け付けないから顔も見たくないしぃ。ていうかぁ、あの醜い姿で恥ずかしげもなく生きているのが謎すぎるしぃ」

「もうやめたげてぉ! オークさん達、一斉に泣き始めちゃったからぁ!」

 敵ながら同情を禁じ得ない光景だった。

 いや、そのおかげでオーク達の猛攻が止まってくれたわけではあるけども!

「うはwwwオークのぴえん顔とかwww草通り越して大草原なんですけどwwwwwww」

「撮影やめい!」

 一喝しつつ、ソルジヤはバスタードソードを構えながら、尚も女子二人組みに声を掛ける。

「そもそもマジョリカ、結界魔術プロテクションを使うのはいいが、せめて魔術で支援してくれよ。それとホイミ、君は法術師なんだから、身体強化系の法術で俺を補助してくれてもよかったんじゃないか? プロテクションの中からならオークに襲われる心配はないはずだろ?」

「は、はい! 申しわけありません!」

 十字架をあしらった白い法衣を着た二十歳過ぎくらいのグラマラスな女性──ホイミ・シンカーンは、たわわに実った胸を揺らしながら即座に頭を下げた。

「つい、マジョリカちゃんの激しめな攻めに熱が入ってしまいまして……。特にお股が」

「めっちゃ個人的な事情! というか最後の言葉は別にいらないから!」

「わたくしがいらない!? そ、そんな……そんな酷い事を言われたら、わたくし感じちゃいます……!(ビクンビクン)」

「あかん! またドMが発症しおった!」

 股をモジモジさせながら顔を紅潮させるホイミに、ソルジヤは嘆くように「OH!」と頭上を仰いだ。

 二人共、腕は確かだし戦力と数えても申し分ない人材なのだが、マジョリカはいつも無気力だし、ホイミはあんな感じでたまにドMを発症させてしまうという難点があった。

 救いがあるとするなら、これでもまだチャラオよりは数百倍マシなところだろうか。

 マジョリカとホイミは、ソルジヤが冒険者になってからの付き合いなので多少なりとも気心は知れているし、それに冗談なしで本当に心の底からマジでパーティー壊滅の危機に瀕した時は全力で戦闘に加わってくれるが、翻ってチャラオだけは万事この調子だった。



 とどのつまり、全然シールダーとして役立ってくれないのだ。



 こいつとパーティーを組んでからそろそろ一ヵ月になるが、毎回こんな感じで動画撮影に勤しんでいるので、微塵も盾役として頼りにならないのである。

 それなのに、未だチャラオとパーティーを組んでいるのは理由があったりする。

 それも、極めてくだらない理由が。

「……まあいい。いや全然よくはないが、今さらだし敢えて目を瞑る事にする。それよりも、いい加減チャラオをパーティーから外そうぜ? こいつ、全然指示通りに動いてくれねぇし」

 後頭部を掻きながら嘆息混じりに不満を漏らしたソルジヤに、マジョリカとホイミは揃って「えぇ〜?」と眉間を寄せた。

「わたくしは反対です。チャラオさんはまだ冒険者になってから日が浅いんですから、もう少し生温かい目で見てあげましょうよ」

「アタシもホイミ姐さんに賛成ぃ。チャラオがいてくれないと困るしぃ」

「困るって、具体的に何が?」



「目の保養としてぇ。チャラオ、顔だけはイケイケメンメンだしぃ」

「カッコいい殿方がいてくれるだけでも、モチベーションが違ってきますので」



 と、まあこんな感じで。

 ソルジヤにしてみれば心底どうでもいい理由なのだが、マジョリカとホイミがこうして反対してくるせいで、いつまで経ってもチャラオを追放できずにいるのである。

 ていうか、冒険なめとるんか。

「はあ……。いい加減目を覚ましてくれよ二人とも。いくら顔が良かったところで、戦力にならなきゃ意味がないだろ。荷物持ちだって、別にこいつじゃなくてもできるし。その荷物ですら雑に扱う始末だし」

「え〜? だからってぇ、ソルジヤみたいなむさ苦しい男が仲間になるのは嫌なんだけどぉ」

「そうですね。マッチョ枠はソルジヤさんだけで充分といいますか、正直、あまり汚らしい男性はわたくし達のパーティーに入れてほしくないです」

「あれ? なんか俺、それとなく二人からディスられてる……?」

「うはwww実は女子二人にウザがられてたソルジヤパイセン草すぎwww」

「どやかましいわ!」

 指を差して笑声を上げるチャラオに一喝するソルジヤ。

 いや、まさかそんな風に思われていたとは考えもしなかったので内心ショックというか、ぶっちゃけ涙目になりそうな心境ではあるが。

 なんて言っている間に、時間を置いたおかげでマジョリカによって負われた心の傷が多少なりとも癒えたのか、オーク達が再び根本を手に持ってにじり寄って来た。

「くっ! もう復活したのか……! マジョリカとホイミ、今度こそ支援頼んだぞ!」

「ちょっと待ってほしいんだけどぉ。日課のティラピスをやってからでないと調子でないしぃ」

「準備運動は大切ですからね。というわけでソルジヤさん、ティラピスをやるのに五分くらい時間をください」

「いやピラティスな? それを言うならピラティス。ティラピスなんて言葉は存在しないから。ていうか、今まで戦闘前にそんな事してなかったよね?」

「してますぅ。ティラミスやってますぅ」

「そうですぅ。ティラノサウルスやってますぅ」

「まだ間違えてんじゃねぇか! ティラノサウルスに至っては五文字超えてんぞ!?」

 あと、二人で同じ口調になるのはやめてほしい。

 文字だけで読んだら、どっちが喋ったのか見分けが付かないから。

 などと漫才じみた会話をしている間にも、オーク達が容赦なくソルジヤに襲いかかる。

「ちぃ! すっかり元の勢いを取り戻しやがって! おいチャラオ! 煙幕玉だ! 煙幕玉をこいつらに投げ付けろ!!」

 煙幕玉とは、文字通り衝撃を与える事によって煙幕を発生させる球体の道具だ。

 マジョリカとホイミの支援が期待できない以上、ここはいったん煙幕を張って退却するしかない。そう思案しての指示だった。

 そんなソルジヤの指示に、チャラオにしては珍しく「り」と素直に頷いて、背負っている荷物から道具を取り出してオーク達に投げ付けた。

 ただし、煙幕玉ではない物を。



 ていうか、聖剣エクスカリバーだった。



「エクスカリバあああああああああああああ!?」

 チャラオによって投擲された聖剣エクスカリバーを慌てて拾いに行くソルジヤ。

 幸いと言うべきか何なのか、聖剣エクスカリバーはオークに当たりはしなかったものの、奪われもせずにそのまま地面に落下した。

 その落下した聖剣エクスカリバーをすぐさま回収したあと、ソルジヤは鬼気迫る顔でチャラオに詰め寄った。

「何してくれちゃってんの!? 今ので切っ先がポッキリ折れちまったじゃねぇか!!」

「聖剣なのにポキるとかwww草こえて森こえてアマゾンこえてマダガスカルwwwwww」

「元々古代の遺物で、特定の呪文を唱える事でとんでもない力を発揮できる剣なんだよ! そもそも、どうやったら煙幕玉と聖剣を間違えんの!? エクスカリバー、思いっきりリュックからはみ出してたじゃん!」

「ちょっとぉ、ソルジヤぁ」

 と、ソルジヤがチャラオに対して怒鳴っていると、マジョリカがいかにも不満そうな声を上げた。

「ソルジヤが大声ばっか上げるせいで全然ピラティスに集中できないんだけどぉ? 謝ってよソルジヤぁ」

「ごめんなさい。え、俺謝っちゃったよ? 俺、なんにも悪くないはずなのに?」

「まあまあソルジヤさん」

 今度はホイミが背筋を伸ばすポーズを取ったまま、ソルジヤを宥める。

「時にはリラックスする事だって大切ですよ? ほらソルジヤさんも一緒にどうですか?」

「やらねぇよ!? だって戦闘中だもん! 全然リラックスできるような状況じゃねぇもん! むしろこの状況でよくリラックスできんな!? メンタル鋼かな!?」

「ああっ。そんなに激しくツッコミを入れられたら、わたくし変になっちゃいそうです……!(ビクンビクン)」

 元から変だよ、あんたは。

 などと、いつものように昇天するホイミと依然としてピラティスを続けるマジョリカを放っておいて、改めてチャラオに向き直る。

「つーか、謝るとしたらチャラオの方だろ! 何をさっきからヘラヘラしてんだ!」

「パイセンおちけつwオレもまだ若いんだから、ここは大目に見ようぜwww」

「お前が言うな! ていうかお前、俺より五つ上の二十五だろうが!」

「草なんだがw年下に叱られるとかwww」

「お前が言うか!」

 と。

 いつの間にやら、オーク達の攻撃が止んでいた事にふと気が付いた、

 いきなりどうしたのかとオーク達の様子を恐る恐る見てみると、明らかに戦意を喪失しているというか、むしろ完全に呆れたような表情をしながら漫然と立っていた。

 というより、憐憫にも等しい生温かい眼差しを向けられていた。主にソルジヤに対して。

「ほらあ! オーク達、すっかりやる気無くちゃったじゃん! いや劣勢だったから逆にありがたいんだけどさあ、なんかこう、違くない? こんな屈辱的な真似をされて、冒険者として恥ずかしくはないの?」

「全然っすわwww」

「アタシも平気ぃ」

「私はどちらかというと、オークさん達の憐れみの視線が逆に気持ちいいです……!(ブルっ)」

 ダメだこりゃ。

 このパーティー、色々と終わってる。

 いや、仲間の一人が怪我で脱落する前はここまで酷くはなかったはずなのに、チャラオが新しくパーティーに入ってからすべてがおかしくなったのだ。

 それまでは聖剣エクスカリバーを高名なエルフの長老から託されるくらいには順調だったはずなのに。一体どうしてこうなった。

「これはいいっすねwオーク達に憐れまれるとか録り高ありありでうまうまっすわwww」

「お前はお前でよぉ! いつまでも動画ばっか撮ってんじゃねぇよ!」

 と苛立ちをぶつけるようにチャラオが持っていた盾を小突いた途端、盾の上部に装置されていた水晶が突如として輝き出して、何もない宙に立体映像が浮かび始めた。

 どうやらソルジヤ小突いた拍子に、何かの誤作動で水晶の動画魔術が発動してしまったようだ。

 叱責するためだったとはいえ、誤って動画を再生させてしまった事に一言を詫びを入れようと口を開きかけたところで、ソルジヤは「ん?」と怪訝に眉をひそめた。



「二人で一緒に服を買いに行くなんて久しぶりですねマジョリカさん」

「そうだねぇ。一緒に着替えるのも久しぶりぃ」

「試着室が広いところでよかったですよね。男性用と女性用とでちゃんと分けられていますし」

「大きな町だからねぇ。それよりぃ、ホイミ姐さんって少しおっぱい大きくなったぁ?」

「わかります? 実は三カ月前よりワンサイズ上がっちゃいまして……。またブラを買い直さないといけなくて大変です……」

「ワンカップ上がると値段も高くなるし、オシャレなのも少なくなるしねぇ。まあ、ワタシ的には揉み心地が前より良くなって喜ばしい限りだけれどぉ」

「きゃ! んもう、マジョリカさんたら、相変わらずのおっぱい好きさんなんですから〜」



 水晶によって映し出された映像には、女子らしいキャッキャウフフとしたやり取りが──マジョリカとホイミが下着姿で着替えをしている様子が生々しく再生されていた。

 というか、どう見ても盗撮だった。

 それを見て、唖然とするソルジヤ。

 さすがのマジョリカも、自分の盗撮映像を目の当たりにして絶句していた。ホイミに至っては顔を真っ赤にして硬直している。いくらドMのホイミでも、盗撮のような犯罪行為は許容範囲外だったようだ。

 そして何より注目すべきチャラオはと言うと、盗撮していた事がバレて動揺しているのか、ダラダラと大量の汗を流していた。どうやってこれを撮ったのかはわからないが、マジョリカとホイミの着替えを盗撮していたのは間違いなさそうだ。

 余談ではあるが、オーク達は盗撮映像を前にしてフガフガと鼻息を荒くしていた。オークらしい性欲に素直な反応である。

 果たして、盗撮映像を前にして皆が様々な反応を見せる中、ややあってからソルジヤとマジョリカとホイミが揃ってチャラオに向かって声高に告げた。



「「「チャラオ、追放決定!」」」



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