最近、彼女の様子がおかしいのだけど。

バーニー

第一章『異変』

第1話

 唐突で悪いのだけど、最近彼女の様子がおかしい。

 別にのろけ話をしようとしているわけじゃない。のろけられるほど付き合っていないし、のろけ話をしたくなるほど、彼女のことを愛していない。なんなら、「そろそろ別れようか」と思っていたくらいだ。

話が逸れたな。とにかく、「最近彼女の様子がおかしい」のだ。

どうおかしいのか? と聞かれれば、答えに困る。心当たりのあることが山ほどあるからだ。例えば、「料理をするようになった」。「前まではつんけんとしていたのに、急に優しくなった」「夜に甘えてくるようになった」「遊びに誘われる機会が多くなった」とかだ。あと、「化粧品を変えた」。

 ある人曰く、これは浮気の前兆らしい。それで納得して、落ち込むことができたなら、どれほど幸せだっただろうか。別に「彼女は浮気なんかしていない!」って意地になっているわけじゃない。

 僕は、彼女の様子がおかしくなった理由が「浮気」なのではなく、もっと別の理由にあると思えてならなかったのだ。

 その根拠となる出来事が、彼女が変わり始めた日に起こった。

 あれは、一か月前のことだった。

 ほら、よくホラー映画で怖い体験をした後、「目が覚めたら三日が経過していた」みたいな描写があるだろう? その間、主人公はどうしていたのか? と言えば、病院のベッドで眠っていたり、恐怖体験した場所に倒れていたり、操り人形のように日常生活を送っていたりと様々だ。この際、「その間、排せつはどうしたのだろう」なんて野暮な質問は無視をする。

 とにかく、一か月前の朝、夜明け頃に目が覚めると、僕はアパートの布団の上で眠っていた。

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