君は奴隷で、僕は貴族

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 俺と君は孤児だった。


 でも、ある日人さらいがやってきて、君をさらっていった。


 やつらは君を見て、見た目が良い、金になる、といっていた。


 確かに君は、孤児にはなかなかいない、綺麗は髪と瞳をしていた。


 僕は君を助けたかったけれど、孤児である僕にはなんのとりえもなかった。


 だから、孤児でなくなればいいと思った。


 貴族街に毎日でかけて、息をひそめて、つけいれる事が簡単そうな甘ちゃんを探した。


 そして見つけたとある人物、人の良い貴族にとりいって、養子になった。


 僕は、貴族という身分を手にした。


 なのに、君はどこかの貴族に買われてしまっていた。


 何をされているのか心配になった。


 同じ貴族じゃ、まだ立ち向かえない。対等だから。


 まだ君を救えない。


 僕は君を助けるために、死ぬ気で勉強して、功績をうちたてた。


 そうしてやっと、君を買った貴族より身分が上になったから、あらためて君を助けようと思った。


「アリガトウゴザイマス、アリガトウゴザイマス」


 けれど、時間をかけすぎた。


 君は壊れていた。


 君は奴隷で、僕は貴族の主人。


 その瞬間、生き地獄にいる事を、自覚してしまった。


 人の上に立とうと上り詰めた僕には様々なしがらみが、重い責任が責任が、逃げ出せない立場がある。


 全てが、嫌になったけれど、そう簡単には投げ出せるような地位ではなくなっていた。


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君は奴隷で、僕は貴族 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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