第210話 対決②
光が収まると、中から無傷の俺とフィーアが現れる。
言うまでもないが、あの程度でやられたりはしない。
だが流石に肝を冷やす。
防御のためにはった魔術による風の幕。
それが一瞬でも送れていたら、俺達はあのビームに呑まれていた。
グオリエならフィーアを殺さないように立ち回るだろうが、魔物にとってはお構いなしだな。
「大丈夫?」
「なんとか、とりあえずこのまま着地するぞ」
ゆっくりと降下を初め、それがだんだんと早くなる。
その間、魔物の視線から外れないようにしつつ、俺達は距離を取って着地した。
視線から俺達が消えると、魔物が何を狙うか解ったもんじゃないからな。
とはいえ、予想に反して魔物は行動を起こさなかったが。
「遠距離攻撃手段がアレしかないのか?」
「もしくは、距離がありすぎて対処される可能性があるから使わなかったのかな」
とはいえ、ビームに関しては連射することはできないようだ。
もし連射していたら、結構面倒だったからな。
できるものならしているだろう。
”――――!!!!”
俺達が地面に着地すると、魔物がまた咆哮する。
お互いに仕切り直しといったところだろう。
さて、ここからどうしたものか。
このまま殿下たちが到着するのを待ってもいいが、少しでも情報を引き出したい。
向こうのできることは、後どれくらいあるんだ?
考えながら、俺は前に出る。
このままフィーアを守りつつ逃げるより、こちらから攻めたほうができることは多い。
「気を付けてね、ハイムくん」
「もちろん」
いいながら、俺は炎を生み出す。
純粋な破壊力としては、火炎魔術はもっとも優秀だ。
昔から炎とは破壊のイメージ、それ故に攻撃魔術としての研究が盛んだったおかげである。
「灼熱よ、燃やし尽くせ!」
詠唱とともに放ったそれを、魔物は回避しながら突っ込んでくる。
回避したということは、直撃すればダメージを受けるということだ。
もしくは……
俺は、そう考えつつ、そのまま火炎魔術を連打する。
威力よりも当てること、避けられないようにすることを意識しつつ。
魔物はこちらに接近しながら移動しているので、当然ながら少しずつ攻撃は当たりやすくなっていく。
「……今!」
そして、俺がついに火炎魔術を魔物に命中させる。
最大火力、中級魔術の上級化。
これ以上となると、なかなか出せるものではない。
だが……
”――――!!!!”
魔物は、構わず突っ込んできた。
奴は攻撃を、ダメージがあるから回避していたのではない。
そう見せかけて、敢えて攻撃を受けることでこちらへ接近するために利用したのだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます