助言の抜け穴
蓮)まさか、俺がそんなやばい存在だったとはな。
なんとも言えない感情に外を眺めた。まだ、外は暗く、ほんのりと遠くの空が青くなり出したくらいだった。
蓮)この部屋から見る景色もこれが最後か。
眠たい目を擦り、洗面所に向かい顔を洗い朝ごはんを作った。朝ごはんは目玉焼きとベーコンをさらに添えて、野菜を端に盛り付けた。俺はオーブンでバターを塗った食パンを入れた。3分ほど待つと馴染みのチーンという音が聞こえ、中からトーストを取り出した。
鈴仙)あれ?もう起きてたの?朝ごはんなら私が作ったのに...
蓮)いいよ。昨日訓練してくれたし、俺もたまには作ろうかなって思ってさ。
鈴仙)そう。なら良いけど...って!目玉焼きに胡椒かけたの!?私は醤油派なのに!
蓮)え?あっ、ダメだった?いつも綺とこんな感じだったのけど。
鈴仙)良いわけないでしょ!!勿体無いから食べるけど...朝から最悪よ...
蓮)そんな落ち込む事ある...
俺はちょっと引いた表情で鈴仙を目を細めて見た。
蓮)とりあえず頂きます。
俺はドレッシングのかかっていない生野菜の状態で食べた。なぜかというと、俺はドレッシングが好きではないからだ。飲食店とかでは普通に食べている。俺は野菜を食べ終わると目玉焼きとベーコンをトーストの上に乗せて食べた。
蓮)ごちそうさまでした。我ながら完璧だ。
鈴仙)...
鈴仙はまだ目玉焼きに手をつけておらずそれ以外は全て食べてしまっている。鈴仙は諦めた表情で目玉焼きを食べると美味しいと言ってこっちを見た。
蓮)以外と胡椒も合うだろ?あっ、すまない洗い物頼んで良いか?
鈴仙)え?良いけど忙しいの?
蓮)昨日は明後日出発って言ったけど念の為今日にしようと思ってね。それで2人に連絡しなきゃいけないから頼むわ。
鈴仙)オッケー。これ終わったら必要な物だけ入れて荷造り終わらせちゃうね。
蓮)了解。
俺は鈴仙に返事を返すと神楽に電話をかけた。幸いすぐ繋がった。
神楽)こんな時間からどうした?まさか政府が動いたのか!?
蓮)違う違う。出発は明日のよていだったけど、今日に変更した事伝えようと思ってさ。構わないか?
神楽)なんだそんなことか。いつでも準備ができてるから指示さえあれば車はすぐに用意できるぞ。
蓮)それは助かる。あとで強矢にも伝えておくよ。
神楽)オッケー。じゃあまた後で。
蓮)うん。じゃあな。
俺は神楽との電話を切り強矢にかけようとするが、強矢とは連絡先を交換していない事を思い出した。
蓮)やばっ、どうしよう。メールとかもわからねぇし。会いに行くか?
そんな事を考えていると知らない番号から電話がかかってきた。俺は警戒しながらも出るとその声は強矢だった。
蓮)強矢!?何で俺の番号知って...
強矢)そんなことより、装加が誘拐された。
蓮)は?え?誘拐!?
このタイミングで誘拐!?もしかしたら政府が俺の動きに気づいて妨害をしている?可能性は無いとは言えない。盗聴器だってあるかもしれない、慎重に行動しよう。
強矢)東京には今日中に出発しないといけないのに...俺も今日手伝うから蓮は...
蓮)!!?
そうか、そういうことか。俺は心の中で納得し、喋っている途中の強矢に言葉を返した。
蓮)悪いが、俺1人で何とかするから神楽に車を手配しておくように頼んでおくから先に東京に行っててくれ。
強矢)え?あっ、蓮!
まだ何か話そうとしていた強矢を無視して電話を切った。神楽に電話をかけて、現状報告と強矢の家に車を手配するように頼んだ。
蓮)そういう事だから俺は遅れるかもしれない。後は頼むぞ。
神楽)了解した。お前の健闘を祈るよ。じゃあまた何かあったら電話をかけてくれ。
蓮)おう、分かった。
俺は神楽との電話を切り、情報集めに家を出た。外は何軒の家が倒壊していて、救助活動が行われていたが沢山の死体や血が散乱しており文字通り酷い有様だった。俺は街を歩いていると、昨日鈴仙が退けたチンピラがいた。俺の方を見てヒソヒソ話している。
チンピラA)ん?あれおととい会ったヒョロイガキじゃね?この前のあいつだよ。ほら、女に俺らの相手させたあのガキだよ。
チンピラB)あぁ、あいつねw生きてたんだw
チンピラA)沢北は死んじまったのに、何であいつが生きてるんだよ...あーダメだイラついてきたからあいつ殴りに行こうぜ。
チンピラB)オッケー。動画撮っとくわ。金もついでにもらおうぜw
話しにひと段落がついたのか俺の方に向かってきた。どうしようか悩んだが、こういう奴らが情報を可能性がある。ヤクザとかの繋がりがあるかもしれない。慎重に行ってみるか。
チンピラA)おい!!お前おとといのガキだよな?お前のせいで俺ら恥かいたんだけど、どう責任とんの?
チンピラB)そうだよー。こういうのってねお金で解決しないといけないんだよー。ここまで来たら察しが悪くても分かるよね?
蓮)金は払わないし、お前ら程度に俺は負けない。むしろ、お前らが怪我をすることになるからやめておけ。
チンピラA)あ゛?このガキ、この前は散々俺らに遊ばれてたのにいい度胸じゃねぇか。
そういうと男は俺の顔目掛けて拳を振った。俺は余裕を持って躱し、男の鳩尾にカウンターを決めた。
チンピラA)うぐっ!
俺は怯んだ男の顔面に数発のパンチを入れた。するともう1人の男が殴りかかってきた。
俺は攻撃を受け流すが、相手の踏み込みに隙がなくなかなか反撃ができない。
チンピラB)ちょっと強くなった程度で調子こいてんのか?晃牙も能力使えよ。
チンピラA)いてぇなこのガキ。翔樹も黙ってろ。こんなガキ1人に能力使うなんてどうかしてるだろ。
翔樹)実際負けてるから使えよ。お前の能力なら勝てるだろ。
晃牙)チッ、こんなガキに使うのは癪だが...
男がそういうと、男の腕は筋肉が盛り上がってきた。
晃牙)お前みたいなヒョロガリ風情に使うとは思っていなかったが、見せてやるよ。俺の本気をよ。
翔樹)おぉ、それでこそ晃牙。晃牙はやっぱりそれじゃないとしっくりこねぇな。
晃牙)これでお前如きは一撃で...
なるほど。あの晃牙とか言うやつの能力はパンプアップなのか。なら軽く本気出しますか...
バゴン!!
晃牙)うがっ!!
晃牙》何が起きた?何故今俺が倒れてる?またいた場所から10mくらいは離れてる。声が出ない。何だこれは?翔樹はどうなってるんだ?
俺が翔樹の方を見るとヒョロガリのガキが翔樹の首を掴んでいるのが見えた。
晃牙)テメェ...ショウ...ギニ...ダニ.....ヤッテンダ。
声にもならない音を絞り出して叫ぶが男の手は緩むことがなかった。
蓮)取引をしないか?
晃牙)ナンダ、ト?
蓮)聞きたいことがある。もし、この頼みを断るのであればこいつの首をへし折る。正直、俺はその選択をしたくない。情報だって聞けないし、
晃牙》聞きたい事?そんな事でいいのか?しかもあいつに勝てる見込みがない。能力を使って10m以上吹っ飛ばしてくる化け物に何したら勝てるんだよ。くっ、ここは受けるしかないか。
晃牙)ワカッタ、ソノハナシニノル。ダカラショウキヲタスケテクレ。
蓮)取引成立だな。約束は守る。
俺は男を首から手を離した。男はハァハァと肩で息をしている。
蓮)早速で悪いが、人探しをしていてな。お前らの知り合いにヤクザみたいのはいないか?
晃牙)へ?ま、まぁいるけど。
蓮)その組を紹介してくれ。
俺は情報を聞き出すと教えられた住所に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます