いろはあれども

菜月 夕

第1話


 我々は星の海の中の小さな命を探して旅を続けている。

 その星は反射光からなんらか生命体が予想されていたが、知的生命体しかも我々に似た人型が発見された時には宇宙船が湧きたったものだ。

 惑星の外からの観測でも判る村落らしきもの。村落を結ぶ道路の網。

 早速、迷彩ドローンを飛ばしてファーストコンタクトへの情報を探る。

 ほんのちょっとした翻訳の誤りでも交渉のヒビになる恐れがあるからだ。

 しかし、ドローンの映像での光景は驚くべきものだった。

 色彩の乱舞。彼らは体表面の色素を利用しての会話を行っているのだ。

 そのためにか衣服は纏わない。地表の気温が一定な事もそれを可能にしているのだろう。

 ほぼ、我々と同じ人間型だが、色が身体全体で激しく変化して話すせいで色々見えても色彩に目を奪われるお陰であまり気になる事も無い。

 我々はその色彩パターンをAIに学習させタブレットでパターンを投影・撮影して通訳を行う事で交渉にこぎつけた。

 何しろ、我々でさえ視神経は通常3種で物を視るが女性は採取が主だったために細かく植物を見分けれるように稀に4種持ってる人が居るくらいだ、彼らは通常の人間には識別できないほどの色を細かく判別するように進化しているはずだ。

 そうしてつつがなくファーストコンタクトは行われた。

 しかし、最後に彼らの群衆の中の小さな声・色をタブレットは拾っていた。

 「うわ、色気ねぇーーー」

 うむ、しかしハダカをゼンゼン隠さないのも色気が無いと思うのは我々だけだろうか。



冒頭の部分は以前に書いたファーストコンタクト物の「言葉には出来ない」をワザとそのまま使っております。

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いろはあれども 菜月 夕 @kaicho_oba

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