幼馴染君、私を裏切るのは駄目だよ
@kana_01
第1話 プロローグ
新作始まりました。宜しくお願いします。
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私、榊原美緒(さかきばらみお)。高校二年生。私の隣の家には、生まれた時からずっと一緒で仲のいい幼馴染、本田斗真(ほんだとうま)が住んでいる。
私と彼は、幼稚園、小学校、中学校、そして高校とずっと一緒。休みの日も一緒の時が多い。
私達はこのまま同じ大学に行く約束もしている。そしていずれは結婚すると思っている。
でも、私は見てしまった。夏休み最後の日曜日、斗真が女の子と手を繋いでラブホ街に歩いて行く姿を。
距離が離れていたけど、斗真の姿を見間違える事はない。追いかけて行ったのだけど、途中で見失ってしまった。こんなところでうろうろしていたら良くないと思い、私は自宅に戻った。
斗真と私の部屋は、お互いの窓一つの隔たりしかない。そして彼の部屋の電気が着いたのは夜遅くだった。
はっきりしたい。斗真が本当に女の子とラブホに入ったのか。見間違いかもしてない。だから、二学期の最初の登校日に思い切って聞いてみる事にした。
二学期初登校の日、私が玄関を出ると
「おはよう美緒」
「おはよう斗真」
朝、私が玄関を出ると必ず斗真がいる。いつも同じ時間の電車に一緒に乗るので自然とこうなった。そして斗真の顔はいつもと同じだ。
「二学期始まっちゃったね」
「そうだな。目先面倒なのは文化祭か」
「斗真のクラスの催し物はなに?」
「模擬店でたこ焼きだって。やる気ゼロなんだけど。美緒は?」
「私はクラスの催し物じゃなくて部活の展示」
「そっかぁ、美緒は情報処理クラブだものな」
もうすぐ、学校に着いてしまう。早く聞かないと。
「ねえ、斗真。この前の日曜日。どこ行っていたの?」
「いきなり何?」
「ううん、ちょっと聞いただけ」
「別にいいけど。友達と遊んでいただけだよ」
「そう」
学校に着いてしまい、それ以上は聞く事が出来なかった。昇降口で
「美緒、図書室は開けるから」
「うん」
これは、斗真が今日は図書室担当だから終わるまで待っていてという意味だ。私は部活がある時は、それが終わってから図書室に行く。
無い時は、直接いくけど、今日からは部活の展示物の作成がある。間に合う時は行くけど。
あの時の事は、斗真は友達と遊んでいただけだと言っていた。私は見間違えたんだろうか。
私はAクラス、斗真はBクラスだ。うちは進学校だけど、理系、文系それにレベル別で別れるのは三年から。だから来年は斗真と一緒のクラスになるはず。
斗真とは何も約束していないけど、お互いの心はいつも同じ方向を見ていると思っている。大学だってもう同じ所へ行く約束をしている。
お昼休みになり、私は教室で友達と話をしながら持って来たお弁当を食べている。彼は友達と学食に行っているはずだ。
食べ終わるとおトイレに行く振りをして斗真のクラスを覗いた。案の定いない。
「どうしたの榊原さん?」
聞いて来たのは、知り合いの白石理央さん。髪の毛が背中の真ん中近くまであり、はっきりとした美人顔。胸もしっかり出ている。
「うん、斗真いるかなと思って」
「本田君なら多分仲間と学食だよ」
「そう。ありがとう」
私は念の為、学食に行って見ると隅の方でいつもの人達と食べ終わった食器をそのままに話をしていた。
気にし過ぎかな?それに相手の子がこの学校の子とも限らないし。あーっ、なんでこんなにあいつの事気になっているんだろう。
違う、いつもはこんなに気にしない。あの場面を見てしまったから気になって仕方ないんだ。
放課後になり、私は情報処理室に向った。部室に入ると皆PCに向って作業をしている。私も自分の仕事、最近のITの発展についての題名でパワポを作らなければいけない。
文化祭の時は部室の壁全体をスクリーンにして映し出す計画だ。
斗真は午後三時から午後五時まで図書室を開ける。だからそれまでに行けばいい。午後四時半になって粗方の素材が出来上がると
「部長、先に帰りますね」
「榊原さんお疲れ様」
眼鏡を掛けたちょっとイケメンっぽい部長だ。彼女持ち。
私は急いで図書室に向うと入り口から一人の女子生徒が出て来た。別に図書室は誰でも出入りできるのにちょっと気になってしまう。
「斗真」
受付で座っている彼に声を掛けると
「あっ、美緒。後三十分位だから」
「分かった」
斗真の笑顔はいつも変わらない。やはり私の見間違いだったのだろうか。
―――――
如何でしょうか。美緒が見た斗真に似た後姿。これに揺れ動く美緒の心。これからです。お楽しみ下さい。
「可愛い男子は恋愛できない?」同様これからもお読み頂ければ幸いです。
書き始めは読者様の応援が一番のエネルギーです。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひフォローとご評価★★★を頂けると嬉しいです。
宜しくお願いします。
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