第0部「放棄」放棄された俺達に祝福を

最悪な結末を辿った哀れなモノ達

呪いの始まり

「はは……ははは、あはははははははは!!!!」


 ああ、もう、もういい。

 守りたかったものは死んでしまった、俺が、俺が殺した。

 目の前の人間達はピクリとも動かない。


『実験を終了します。お疲れ様でした。被験者の処分を行いま――』


 煩い。今、お前の話を聞いてる暇なんてない。

 煩いから、消えろ。と念じたらパリンと割れる音がした。

 なぁんでだろう? あぁでも、そんな下らないことを考える必要なんてない。

 ゆっくり立ち上がる。まだ癒えてない痛みがするけど、そんなことはどうでもいい。

 動かないを見る。あーあ、カワイソウ。でも、もうカワイソウじゃないなあ?


「アハハハハハッ!!!!」


 ずっと口から笑いが零れる。笑う場面じゃないのに。でも、こんなに、こんなに嬉しくて、楽しいんだから笑っても仕方ないだろう?

 ああ、なんだかとても気分がいい。こんなに心地いい気分は初めてだ。

 なぁ? アンタ達もそうだろ?

 笑ってそれを見たらそれらの顔から黒い花が咲いた。

 この花は……あぁ、あぁ!!!


「もう苦しむ事も、悲しむ事も、何もないんだあ……」


 嬉しくて、嬉しくて、それらに話しかける。そうしたらピクリと動いた。


「ハハッ、アンタ達にも祝福を与えよう。だからあ、俺の為に、動いてくれよ?」


 ゆっくりと三人が起き上がった。顔は花に覆われて見えないけど、そんなことはどうでもいい。だって、この花は祝福なんだから。

 祝福……そう、祝福。祝福ならやることがあるなぁ?


「みなにも同じように与えないとなあ? だって、これは祝福なんだからなっ!!!!」


 祝福を与えないと。そうすれば誰も苦しまない、悲しまない。みーんなシアワセだ!!!


「さあ咲かせよう! 祝福の――黒百合を!!」


 まずは、この世界から、だ。

 手伝ってくれるよなぁ? だって、アンタ達は俺の物なんだから。

 笑って、地獄だった拷問部屋から出る。ちゃんと、みんなも連れて。

 

<>


「ふーんふんふんふーん♪」


 鼻歌を歌いながら人間に祝福を与える。この「花の楽園」、凄く使い心地がいい。

 銃で花を植え付けて、咲かせたら相手を自由に操れる。咲く場所で自我が消えたり、消えなかったり。

 色々試して玩具は変化させれたり出来ることに気づいた。人の姿がなくなって、花の化物みたいになっている。面白いなあ。


「……?」


 能力を使っていたら、片目の視界が暗くなった。触ってみたら何かが目にある。なんだこれ。

 姿を確認したい。そう思って辺りを見渡す。玩具は祝福を与え続けてるから無視。

 ……あ、そうだ。液晶で確認しよう。神に戻ってるだろうしなあ。


「――へぇ? これは……ハハッ最高だなあ」


 液晶が出てきたから姿見を出してどうなっているのか見る。見える範囲にひびが出来ていて、所々に花が咲いてる。それと、目に大きな、祝福の黒百合が咲いていた。

 俺にも祝福をくれるのかという嬉しみと同時に、祝福以外に何か違和感がある気がして、俺の姿をじっくりと見る。

 そして、その違和感に気づいた。


「目の色が変わってるう? 黄金色お? へぇぇぇ? これも祝福の一つかあ? だとしたら、最高だなあ!」


 鏡の俺がうっとりした表情をした。不思議と恐怖は感じなかった。逆に興奮してしまう。嬉しくて、楽しくて、気持ちいい。

 嬉しい、嬉しい、うれしい、うれしい、ウレシイ!!!!!


「アハハハハハッ!!!!! もっと、モット祝福を!!!」


 モットミンナニオレノキモチヲワカラセナイト。

 コンナニシアワセナンダカラ。




 ——アァソウダ。




「青にも、あげないと。他の、旅神にも」

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