第67話 エドワード
◆ ◆ ◆ エドワード
グレン殿は突然部下に任せて去っていった。
俺は取り残されたグレン殿の部下に
「えーー、とりあえずリオ・コスナー様には色々とお聞きしたいこともありますし、こちらの事情も話したいと思いますので、我々の待機している宿舎に来ていただきます」
と言われて、街の外れの建物に連れて行かれた。
「こちらです」
そう言われて入った部屋はテーブルと椅子が置いてあるだけの簡素な部屋だった。
「あなたの奥様であるシャーリー・コスナー夫人が、サリナル商会を我が国に引き入れました。そしてその許可を出したのはあなたですよね?」
「はい、きちんと商会の内容は調べて伯爵である義父にも許可は得ていますし国にも申請しております」
俺は商会を許可した時のことを詳しく説明した。
シャーリーの友人の子爵の次男であるワイルズ殿が、この国に出店したいと希望している友人が営む商会があるからと頭を下げて来た。
シャーリーもその商会からワイルズ殿を通してよく薬を仕入れてもらっていたから、この商会を是非うちの領土に出店して欲しいと願った。
もちろん、他国の商会を簡単に出店させるわけにはいかないので、商会の経営状況、売っているもの、身元調査など調べて国に申請して許可を出した。
その時はそんな怪しい薬を売るような店には思えなかった。
店主になる男も人当たりも良く使用人らしい物言いで特に不審な点はなかった。
全てを話したあと、「そうですか」とだけ答えた騎士は、「一度お帰りいただいてまた後日、調査をしてから話をさせてください」と言われた。
そして数日後ーー
「この商会がもたらした怪しい薬のせいで周辺の領民も含めて何人もが麻薬中毒になったり体を壊したりしております。
さらに王都では小さな子供が一人、その薬を致死量飲まされております。
子供のそばに知らない男が近寄ったことがわかりました。その男はあなたのところの執事見習いのジミーであることをうちの団の方で確認をしました」
「はっ?ジミーがその子供に薬?何故?ジミーは今回の事件には関係ありません。わたしの私用により王都へ行ってもらっただけです」
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