ベランダ幽霊とハコの星空。

七星北斗(化物)

1.星空が綺麗だったから。

 ドーンっと深夜の丑三つ時、マンションのベランダから大きな破裂音が聞こえた。


 何事かと窓を開ければ、血塗れな物体がベランダに干されていた。


「ギャーっ、ナンじゃこりゃ」


 ベランダが余すことなく、赤く染まっている。僕は、絶句した。


 警察?救急車!?頭の中がパニックになる。


 とりあえず窓を閉めた。窓ガラス全体に血飛沫がついている。


 この血の量だ。きっと死んでいるに違いない。


 窓ガラスを開けると…やっぱりあるよな遺体。


 遺体を十分ほど眺めた。


 パニックは抑まり、頭が冷静になってくる。


 芸術作品のようなアートと思えば、存外怖くはないか。


 写真に撮っておこう。


 しかしそんなことよりも、先ほどから謎の幻聴が聞こえる?


「あのぉー、そんなマジマジと見られると恥ずかしいのですが」


「誰っ!?」


 隣を見れば、女子高生の制服を着た女が…誰っ!?


「誰と申されても、私もわからないんですよ?」


「わからない?」


「あなたこそ誰ですか?」


「俺は、並槻噛月なみつきかみつき


「ここはどこですか?」


「俺の部屋なんだけど」


「私は何故、死んでるのでしょう?」


「死んでる?生きてるじゃん」


「いえ、死んでいます。あなたが殺したんですか?」


「意味がわからないんだけど?」


「この死体は私です」


「ハッ?何を言って…だってここに」


「死んでいるんです。だけど私は存在しています。どうしてですか?」


 どうしてと言われても、俺にわかるわけないじゃないか。


 遺体があるのだから死んでいる。ならこの娘は?その答えは一つしかない。


「君、もしかして幽霊ッ?」


「もしかしてじゃなく、そうなんです」


 幽霊って嘘でしょ!いやいや、あり得ないって。


「うらめしやー」


「裏飯屋?」


「違う、うらめしやー」


 女子高生幽霊は、肘を曲げて手首が下に向けている。それを見て合点がいった。


 定番と言えば、定番だが。実際にやっているのを見ると、怖さはないし。ついホンワカとしてしまった。


「可愛い」


「可愛いって何ですか?可愛いって。ちゃんと怖がってくださいよ。ぷんぷん」


 何故か、怒られてしまった。


「とりあえず、警察と消防を呼ぶね。流石にこのままじゃあれだし」


「そうですね。確かにそうです」


 百十番をした俺は、状況を説明すると。すぐにパトカーと救急車が、サイレンを鳴らしてやってきた。


 とは言っても、この状況をどう説明したものか困る。寝ていたら突然、ベランダで凄い音がして、窓を開けると。そこに遺体があった。


 で、となりに幽霊少女。

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ベランダ幽霊とハコの星空。 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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