勉強中
奈留実と莉央さんの関係は、よくわからないまま同じクラスで過ごして、結局オレは奈留実とあまり話せないままだった。
もうすぐ二年生へと進級してしまう…
…
このままじゃいけないと思い、思いきって奈留実の部屋にお邪魔することにした。
久しぶりにお邪魔する奈留実の部屋。
奈留実のお母さんがどうぞって言ってくれたけど…奈留実には行くことを伝えていなかったから、追い返されちゃう可能性もある。
奈留実の部屋の前でコホンと咳払いをして、
「オレだけど、ちょっといいかな?」
と手に汗握りながら声を振り絞った。
奈留実と話すのがこんなに緊張する日がくるなんて予想もしてなかったぜ…。
…
一瞬間があったけど、
「うん。どうぞ。」
と久しぶりに奈留実の声が聞けて、なんだかホッとしてしまった。
それに、受け入れてもらえてとりあえずよかった。
部屋に入ると奈留実は、お勉強中で机にノートやら参考書やらを積んで頑張っていた最中らしい。
「あ、勉強中だった…?」
「うん。それで、どうしたの?」
…
部屋には入れてもらったけど…
奈留実は、一切こちらを見ずに勉強をしながらオレに問いかけてきた。
「あのさ、莉央さんなんだけど…」
「うん。わたしには関係ないから付き合ってるとか付き合ってないとかなら話さなくて大丈夫だから。」
と、先に言われてしまった…。
関係ないか…。
「あのー、あのさ、オレ役に立たないかもだけどさ…もう一度彼氏役やらせてもらえませんか?」
と、奈留実にお願いをしてみた。
そしたら、奈留実は…
「もう、その件は大丈夫。それにわたし今やりたいことがみつかってね。それに没頭したいから…だからもうほんとに大丈夫なの。」
と、遠回しに話はおしまい的な感じになってしまった。
…
没頭したいことか。
…
「勉強中に邪魔してごめんね。」
「ううん。大丈夫。」
…
結局奈留実は、オレと最後まで目を合わすことはなかった。
家に帰り、なんで生徒会室にいたのか聞くの忘れたって思ったけど…でも、そんなこと聞ける状態じゃなかったよね…とスッキリしないまま布団にゴロンと転がった。
…なんでこんなことになっちゃったんだろうなぁ。
奈留実とは、なんだかんだでずっと一緒に居るって思ってたのは、オレだけだったんだろうなぁ。
寂しいなぁ…。
続く。
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