そんなことになっていた⁉︎
オレは奈留実に手をひかれたまま学校へと到着した。
正門をくぐるかくぐらないかあたりで背後から、
「わぁ〜、手繋ぐんだね〜」
と莉央さんがオレたちに声をかけてきた。
「あ、おはよう。」
とオレが莉央さんに返事をすると莉央さんも、
「おはよ〜、二人とも〜」
と、オレと奈留実を交互にみた。
奈留実が小さな声で、
「おはよ」
と返すと莉央さんが奈留実の方をみながら、
「いいなぁ〜。いいなぁ〜。羨ましいなぁ」
といいそして…オレたちの手をみた。
あ、まだ繋いでた。
二人して、莉央さんの視線でパッと手を離した。
「いいよー。繋いでなよ〜。」
とニタニタする莉央さん。
…
「いや…、これは…繋いだっていうか…ね?遅れちゃうって言ってね?ね、奈留実。」
と、なぜか言い訳みたいなことをするオレ…。
すると奈留実は…
「付き合ってるんだから手ぐらい繋ぐでしょ?それにー、部屋で二人っきりであんなこととかもね?」
とオレに向かって言ってきたのです。
…
二人っきりであんなことって…
「ちょっと、あんなことってなんだよ」
「えー、ゲームだけどぉ?」
と、コソコソ話していたら莉央さんが
「ふっ、仲良いなぁ」
とまたニタニタしだした。
「あっ、だからそうじゃなくて…その…」
と、また言い訳やろうなオレ。
まだ言い訳が終わらないまま、チャイムがなった。
「あ、ほら行かないと遅刻!」
とまたオレの手を握り引っ張ってくれる奈留実。
すると…
「ほんとだ。早く行かなきゃだねっ」
と、反対側のオレの手を引っ張ってくれる莉央さん。
おわぁ!
両手に花とは、こういうことをいうのでしょうか?
そしてその数時間後…
オレたちが三人で手を繋いでいる写真が学校中で拡散したのです。
これはまた…浮気だの二股だの騒がれるやつなのでは…⁉︎
なんて怯えていると…
この写真が待ち受けにすると何かしらのよいご縁に恵まれる…という噂がチラホラと流れ出したのです。
そもそもボランティア活動すると彼女できるみたいな噂もあったけど…あれも怪しいよね⁉︎なんて友達に言ったら…まさかの大量のカップルがオレの知らないところで成立していたらしいのです。
だからたまに同級生や先輩たちから、ありがとう‼︎って握手されてたのか…。
ボランティア活動を一生懸命している姿を女子たちは、こっそり見ていたのですね。
そして、最近ボランティアに男子だけじゃなく女子もチラホラいるなぁなんて思っていたのですが、どうやらカップルで活動しているなんて話も伺ったのです。
どうやら、デートする場所なんて公園くらいしかないから、それならボランティア活動を一緒にやって学校生活のいい思い出のひとつにしちゃお♡っていうカップルもいるらしいのです。
ほぅ。
そんなことになっていたなんて。
…ってかさ、みなさまオレのおかげで…みたいなこと言っておりますが、実はオレは彼女いませんよーー‼︎
オレは彼女持ちじゃなく…幼馴染のボランティア隊なのです。
みんなには、秘密だけどね。
でもさー…そんなカップルで楽しそうにボランティアされると…いいなぁ。オレも彼女欲しいなぁ。イチャイチャしたいなぁ。なんて思うわけっすよ。
ボランティア彼女じゃなくて、ほんとの彼女がさ…
…
ってみてたらさ…
続く。
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