第52話

今この人を独りにすることは、この人への愛になるのだろうか。

それこそ、してはいけないことのような気がした。

「一緒に、晩御飯をつくりませんか?」


ライアンの料理の腕は壊滅的だった。

リトルブルーとて自分の腕に自信があるわけではなかったが、それ以前に問題だった。

レタスを包丁でぶった斬り、肉を鍋に落とすように投げ入れ、熱湯で大火傷しそうになる、そんなクッキングを見ているしかなかったリトルブルーは、本当に気が気ではなかった。

 しかし、彼曰く料理が皿に盛り付けられた時の、ライアンの少し満足げな表情を見ると、何も言えなくなった。

 「わ、私、スープを作るので、手伝っていただけませんか?」

勇気を振り絞って、リトルブルーはそう言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る