第47話

普段は大人びていて、どこか冷たげに見える顔が、時々まるで、子どもみたいにくしゃりと歪む。言いたいことを秘めたまま言葉にできない不器用さが,ライアンの頬の皺に刻まれている。見ていると,居ても立っても居られなくなるほど、苦しくなる。だけどそれは、幸せの痛みなのだ。


「…俺は」

ライアンはリトルブルーを、じっとみる。リトルブルーの青い瞳を見続ける。どれだけ見つめていても飽きることがない。胸の奥から、なにか優しい柔らかい想いが、じわりと湧き上がってくる。そんな気持ちになったのは初めてだった。

「おかしいんだ。なんだか、俺は変だ、狂っちまったらしいんだ」

ライアンは、一歩先に進む。リトルブルーがそれにつれて一歩後ろに下がる。

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