第39話

「帰れ」

殺気が声から滲み出ている。ライアンの二つの青い瞳が、冷酷な殺戮者のようにぎらぎらと光る。

ノノは諦めてふらふらと夜の街へと帰っていった。


「無事か」

ライアンの声が優しい。

ていうか私、すっぴん!?

そう気づいたリトルブルーは、顔を隠そうとする。

「私すっぴんなんで、見ないでください!」

「普段とほぼ代わりないが」

ライアンにとっては、普段と変わらないリトルブルーがそこにいた。強くてやさしくてやわらかな彼女が。

「すいません、また迷惑をかけてしまって。もうライアンさんのところには現れませんから!すいません、すいません」

リトルブルーは何度も何度も頭を下げ、そして、逃げようとした。すると、ライアンの呟きが聞こえた。

「それは寂しくなるな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る