第33話

語尾、その言葉自体はまろいのに顔が全く笑っておらず、ライアンとの間の空気が殺気立つ。

ノノはリトルブルーの髪にキスした。

「お前の家はこちらではないだろう」

ライアンの声には怒気が、若干だが確かに含まれていた。ノノは微笑んでひらりと身を返す。

「りっちゃんと一緒にいたいのさ」

ノノのウィンクは周りの女性をときめかせるのには十分だった。

 その夜、

「ちょっとそれ、絶対脈ありじゃないの!誰よその、ノノって男は!」

モクレンの歓喜あふれる叫びが部屋に響いた。

「脈ありじゃないです!もう終わりました!死にました!」

リトルブルーが日々の凡ミスで、自分の恋は終わったと喚く。日常茶飯事のことだ。今晩も例外なく悲痛な叫びが響き渡る。

今晩も、モクレンの熱い励ましと、リトルブルーの苦痛の叫びが幾重にも重なったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る