第32話

夕日が街並みを包んでいる。なんでもない夜のこと、二人は肩を並べて帰路を歩いていた。右に見えるのはクローバー畑その名の通りクローバーだらけの土地で、四葉のクローバーは1万分の1の確率でしか手に入らないという。会話はいつもよりほんの少し盛り上がっていて、心地の良いムードの中にあった。


そのせいだろうか。リトルブルーの口も軽くなる。

二人は畑を眺めながらも歩いていく。

「私、ライアンさんの声が好きなんです」

「声だけか」

「え?」

ライアンの呟きは届かなかった。その時である。

「りっちゃん!」

ノノがリトルブルーの肩を後ろから包みこんだ。

思わず叫び声を上げると、ノノは大袈裟に笑った。それはまるで、ライアンに自分の存在をアピールしているかのようだった。

「もう、りっちゃん。今日は怪我しそうになってたでしょ?無理はしちゃだめってあんなに言ったのに〜。約束守れない悪いこはだめだよ〜」

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