僕の学校の怪談の不都合な真実

@mia

第1話

 僕の通う小学校には怪談がある。

 他の小学校みたいな七不思議ではなく、たった一つだけだ。

 花子さんがいるという一つだけだ。

 トイレに出るわけではない。遊具場に出る。

 小学校の校庭は運動場と遊具場に分かれている。運動場は体育をやったり集会などをやったりする。

 遊具場は雲梯や登り棒、滑り台、ジャングルジム、ブランコがある。ブランコは二つあるが雲梯から見て左側のブランコに花子さんがいるらしい。

 クラスの霊感がある女子に言わせると、黒っぽい影みたいなもやみたいなものが ブランコにのっているらしい。ただ、はっきり見えないので女の子か男の子か分からないとも言っていた。

 放課後、誰もいないのに左側のブランコだけが揺れているのを見た人もいると聞いたことがある。のったせいで交通事故に遭った卒業生もいるそうだ。

 だから左側のブランコに乗ると呪われるという噂があり、怖くてみんなブランコにのれない。

 以前に僕が雲梯で遊んでいた時にブランコを見ると、右は順番待ちで並んでいても左は誰もいなかった。


 今の僕は遊技場ではなく運動場でドッジボールやケイドロをして遊んでいる。

 二、三年前に仕事で忙しいおばあちゃんが初めて運動会を見に来てくれたことがあった。

 遊具場の方を見て「あー、ブランコに一人いるね」

 おばあちゃんは僕には見えない花子さんが見えたらしい。

「でもあの子は力がないから、たまにブランコにのるくらいじゃ何も起こらないよ。それにブランコだけじゃなく他の遊具にも何人かいるけど、みんな力が弱いからほとんど影響ないよ」

 それを聞いてから僕は遊具場で遊んでいない。

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