第44話 強い緊張感をもって注視
「あいつ……『彼氏なんていたことないす』とかいっておいて、ガチ目の彼女がいたんじゃないかよ……」
「で、君は本当に
星子が鋭い目つきで聞いてくる。
「そうですよ、なんでもないです。あいつはあくまで妹の友達だし……」
「じゃあ君は妹と付き合っているのか?」
「だからそれも違いますってば……。っていうか、副会長はもう
「私はそのつもりはない……。でも、私が高校に進学してからは会う頻度が少なくなっていって……。去年のクリスマスは一緒にすごしたんだが、今年になって
まあそりゃ流れからすると、そうなるかもな。
「君の妹とも面識自体はあるし、ちょっと一緒に遊んだこともあるよ。
ああ、体育準備室でなんかそんな雰囲気ではあったな。
「あの二人、よくよく調べてみると仲はいいけどお互いの家に遊びに行ったりはしてないようだったし、でも油断はできないから強い緊張感をもって注視していたんだ」
「なんですかその政府日銀が株価や円高についてコメントするときみたいなセリフは? 為替介入でもするつもりですか」
「あまりに変な関係だったら介入するつもりだった……。そして、君が現れた。だから介入した」
「ん?」
「だから! 君と笠原さんは兄妹だろ? だって同じ苗字で同じ住所に住んでいるんだからこれは絶対だ。で、兄妹で
「………………」
「私の予想を超えてたよ、まさかブラコンシスコンの近親そう……」
「ストップ! 俺たちはそんなんじゃありませんから! そういう関係ではないし、俺はあいつのこと妹だと思ってるし!」
「でも血はつながってないんだろ? 見る限り、君の妹の方は君のこと、兄じゃなくて憧れの先輩として見たいと思っているようだ。私はずっと観察してたんだ、間違いない」
「いやだから、妹に手を出すとか、母さんにどんな顔すればいいんですか」
「じゃあ
「あーもうめんどくさいなあもう! 副会長も見てたでしょ、配信ではあいつだってちゃんとお兄ちゃんって呼ぶんですよ、その関係を続けて行けばいいんです」
「は?」
「ん?」
「配信? ってなんだ?」
「え?」
武士郎は星子の顔を見つめる。
え、待て、じゃああの配信でサンカクちゃんとか言ってたのは副会長じゃない……?
ストーカーはもう一人いるのか……?
とすると、女の子たちだけであの家に待機させてるのは危険じゃないか?
「副会長、もう午後十時になります。話はまたあとでゆっくりしましょう。家まで送りますよ。家、どこですか?」
「ここから少し歩いたところにある神社の裏手」
あーなるほどね、あの辺か。
「あの写真とったのは副会長で間違いないんですね……」
「いつもあそこで二人で踊っていたんだ、
「………………まあ、許すかどうかはともかく、そういう話はあとでしましょう」
とりあえず星子を家まで送り、その後武士郎は駆け足で自宅に戻った。
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