第28話



 ズッ




 敵のカマは弧を描きながら、クルルの顔面を目掛けて落下しようとしていた。


 間に合わないと思った。


 だから俺は急いで呪符を取り出したんだ。


 式神を使って霊力を「術」に変換することができる札。


 敵の行動を少しでも制限できればと思っていた。


 けど——



 肉が抉れる音が聞こえた。


 いや、それは音じゃなかった。


 空気の圧縮される“密”。


 「波動」が、瞬く間に空間に迸った。


 敵のカマが、空中で砕け散ると同時に。




 「ガハッ」




 カランカランとカマの柄が地面に転がる。


 敵は物理的な“何か”によって、動きを遮られていた。


 “撃ち落とされた”



 多分、——そうだ



 宙には血飛沫が舞っていた。


 体の中央にはボウリングの球くらいの「穴」が、貫かれるように開いていた。


 開くと同時に地面へと倒れたんだ。


 千切れた腕が、ボトッと落下してくる前に。

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