お母さんの決断


おじいちゃん葬式で、号泣したり、急に爆笑しだしたりと、情緒不安定なおばに、わがままで、待望の男やったからと甘やかされて育てられたおじ、おじいちゃんとほぼ同時期に認知症になってしまい、性格が変わってしまったおばあちゃん。

その三人とおじいちゃんの遺産のことについて話し合うため、お母さんと付き添いとしてお父さんが大阪へと向かった。


話し合いが始まった瞬間、三人でお母さんに罵倒罵声を浴びせ、家族の恥だの生まなきゃ良かっただの好き勝手言われたそうな。

しかも、相続の話に、相続権の無い自分が参加するのは無粋だと別室で待っていたお父さんを呼び出して、お父さんのことまで、酷く言われたらしい。


相続の話を簡単にまとめると、本来であれば、おばあちゃんに五割、あとの五割を子供のお母さん、おば、おじの三人で分けるのが一般的であり、そのパターンが一番多いのだがそうはせず、まずおばあちゃんに十割全部相続させて、おばあちゃんが死んでから、遺産を子供達三人で分けるといったもの。


これが表すのは、おばあちゃんとおじ、おばの三人で事前に、おじとおばの二人だけにしか遺産を相続させないという遺言書を作って、お母さんの相続分を無くさせるということ。


おばあちゃんは元々、三人の子供の中では、長女であるお母さんと一番仲が良かった。しかし、認知症になってしまってから、自分の近くにいるおじとおばのことしか信用しないようになったのと同時に、二人の言われるがままの状態になっていた。


おじ、おばだけならまだしも、仲の良かったおばあちゃんにまでも攻撃されてしまい、もう、無理だなと悟ったらしい。


後日、遺産放棄と絶縁の書類を送り、今に至る。


おじいちゃんが死んでしまってから、三年経った今でも、お母さんは、おじいちゃんのことを思ったり、おばあちゃんとの思い出を思い出して涙するときがある。

自分の母親ながら、何でこんないい人が不幸な目に遭うんだろうと何度も考えた。

もう、これから先は、このような目に遭ってほしくないし、幸せにいつまでも笑顔で過ごしてほしいと切に願う。

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