第145話  ご案内!

「ようこそ! 私のアトリエへ!!」


 そこは、まさに工場と言ってもいいほどの広さをした場所だった。

 目の前には、真白の作業台の他に、自動魔石稼働具や素材の倉庫などが有り、その他にも二階と三階も有り、吹き抜けになっている。


「何、コレ?」

「どういう事?」

「まさに異次元だ……」


 麗花と相良、桐島の三人は三者三様驚いた。


「おー! すご〜い! 天井がたか〜い! それにーひろ〜い!」

「そうだろ、柊作! いや〜本当何回見てもすげぇな」


 柊作は驚きよりも好奇心が勝った。


「この『異次元アトリエ』は高さ25m、広さは大雑把ですが、東京ドーム五つ分くらいですかね。あ、迷子にならないよう気をつけて下いさね。…分かりましたか、石井さん」

「……へぃ」


 何度かこのアトリエに来た事がある龍也だが、実は来る度に色々な物に目移りしてしまい迷子になっている。そして、真白が探して見つける事になる。

 いい大人が迷子になるなと注意されて、周りから呆れられた目を向けられた龍也は少しいたたまれなくなった。


「そしてこの一階は主にアイテム製作とその量産をする為のフロアです」


 説明され驚く一同。真白の言う通り一階は作業台や自動魔石稼働具だけでなく、ベルトコンベヤーのついた機械が沢山ある。正に量産工場だ。


「そして、二階は私の過去の製作アイテムの仕様書などの資料室とアイテム倉庫になっています」

「え? 仕様書が有るの、真白ちゃん」

「はい。よかったらご覧ください。石井さんにも偶に貸したりしてますので」


 真白が発明したアイテムの仕様書。それはこの世の生産職たちからしたら喉から手が出るほど欲しい物だろう。

 しかし、そういう物には真白はセキュリティーが高い為全てこのアトリエの資料室に保管している。中には『邪魂シリーズ』の様な危険極まりないアイテムの物まであるからだ。


「そして三階ですが、あそこは私以外は入れません。あそこのフロアは厄介な物や超危険な物まで、世間に出したら大変なアイテムが多い物が置いてますので」

「ちょっと待て白岩さん。なんでそんな物を一個人で保管してるんだ!」

「私が造った物だからですよ。…まぁ殆どがノリで造ったアイテムですし、危険性を考えて厳重にして保管してます」

「……それなら良いが。…ノリでそんな危険なアイテムを造られるのは困る」


 桐島は真白に自重するように注意する。さすがに自作したアイテムの製作禁止をすることはしない。だが、本音は注意するのが疲れただけである。桐島は真白の倫理観がしっかりしていると思いもう何も言わない。


「そして、これの一番凄いところは、中と外の時間の流れが違うことです」

「「「「……??」」」」


 真白のその説明に龍也以外の者の頭の中が『??』になった。


「あぁ〜、多分理解出来ないと思うから言うけど、白ちゃんが言いたいのは、このアイテムの中は外より時間の流れが早いんだ」

「そうです。説明すると長いですから今回は省きます」

「聞いても理解出来ないと思うぜ。俺でも解らなかった」


 龍也の補足の説明を聞くが、全員頭の中がキャパオーバーして声が出ない。


「おー! ◯神と時の〇〇だー!!」


 いや、柊作だけは通常だった。むしろ楽しんでいる。


「真白ちゃーん! 外と中の時間の流れはどれくらい違うのー!」

「外の時間が一時間経ったとすると、この中の時間は十時間が経ちます。だから十倍です。あ、身体の老化は外の時間と同じなので大丈夫ですよ」

「……つまり、私達がこの中に入ってからもう約十分経ってるけど、外ではまだ一分しか経ってないってこと?」

「その通りです。私の持つ48の最高アイテムの一つです!」

「……え、……こんなのが48個も………」

「…いや、そんな真に受けないでください。冗談ですから。……ちょっとノリで言ってみただけですから。…すいません」


 冗談のつもりでアニメの台詞をキメ顔で言った真白だが、何故か信じられてしまって逆に焦って謝ってしまった。


「……そ、そうよね。流石に冗談よね」

「確かに、あまりにも凄すぎて真に受け過ぎてしまった」

「あ、あはは……でも、ちょっとビックリしたわ」


 真白に冗談と言われ、相良、桐島、麗花の三人は少し安心した。こんなとんでもアイテムが沢山有れば誰でも驚くだろう。


「48は言い過ぎでした。本当は17です。だから大丈夫です」

「「「………………………………………」」」


 三人は上げて落とされた気分になった。

 因みに、『邪魂シリーズ』や『賢者の手袋』も真白の17の最高アイテムに入っている。一つ一つが下手したら戦術戦略級のアイテムが17個も有れば恐ろしだろう。


「白ちゃん、説明してたらキリがないから、生産始めようぜ」


 三人の様子を見てキリがないと思った龍也が切り上げようとする。


「真白ちゃーん。僕はーもう少しー見て回ってもーいーい?」


 柊作はいつも通りマイペースだ。


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 更新遅れて本当にすいませんでした!!

 最近色々有りすぎてスランプ状態でしたが、少しずつ戻って来ましたので、今後とも宜しくお願いします!!

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