第87話 いつも日常
キーンコーンカーンコーン!
「そこまで。解答用紙を後ろから集めてください」
10月の上旬、中間テストの最終日を終えた。殆どのクラスメイトは試験が終わり、解放感を感じている。
「真白〜テストどうだった」
「いつも通り」
「そっか〜」
中間テストという地獄から解放された佳織はいつも以上に上機嫌で真白に話し掛けてきた。
「いや〜〜、ここん所テスト勉強ばかりで大変だったよ。これで成績の方は大丈夫のはず」
「そうあってほしいよ。でないと教えた私がとても困る」
「お世話になりました」
「少しは自分で勉強してみたら」
「アタシが出来ると思う?」
「全く思わない」
今回も佳織は成績維持の為、真白に半分泣きつく様にテスト勉強に付き合ってもらった。真白からしたらいつもの事の為、大した事ではない。
「テストも終わったことだし、久しぶりにダンジョンに潜ろうかな! 体が鈍ってるかもだし」
「私は今日は生産活動の予定」
「………真白…確かテスト期間中なのにあなたダンジョン潜ってたわよね。…どうして学年上位の成績を維持できるの?」
「普段から予習復習してればなんとかなるよ。あと、私はもう今学年分の授業内容は全て予習してるから」
「そ、そうなんだ……」
しかし真白の本音は、生産活動とダンジョン探索に時間を費やしたいからテスト勉強に時間を取られたくないのが一番の理由だ。
青木ヶ原ダンジョン60階層レイドボスの生配信から約一ヶ月、あの後は色々とあった。
まず、アンデット系階層ボスモンスターの攻略動画の投稿。現在は収益化まだ目処が立っていいないが、龍也曰く、その内とおるだろうとのこと。しかしあれ以来、真白は配信を面倒くさがっている為、あまり新しい動画は投稿されてない。収益化がとおらないのはそれも原因の一つだろう。
次に、瘴壁騎士についてだが、これは主に家族と佳織、そして翠と相良から聞かれた。特に母と父に説明するのが大変だった。死んだはずの息子の姿をしたホムンクルスが出たらそれは驚くだろう。この件に関しては真白も真剣に説明した。翠と相良に桐島の三人にも龍也を交えて説明をした。説明を終えたあとの翠はかなり呆れ顔をしていた。
そして、『亡者の邪魂』の収集だが、これは二週に一度で金曜の放課後から土曜の夕方の一泊二日の頻度で行なう事にした。青木ヶ原ダンジョンの階層調査の依頼で、真白にはかなりのお金が入った。しかも真白の描いたマップはとても上手く纏められており、買い取る話しとなったのだが、マップ一つ数万円のを大量に出されると協会側も困る為、少しずつ出してほしいとのことで、青木ヶ原ダンジョンに行く頻度を少なくし、攻略は気が向いたらやる方向で考えている。
色々な事があったが、現在は学校の放課後には、ダンジョンに潜ったり生産活動をして、休日は時々遠出をするのが、真白の日常になっている。
「……さぁて、帰ったら私は生産活動しようかな」
そして真白は、今日もいつもの日常を過ごすのだった。
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