第54話 正式決定
フェアバンクスダンジョン解放作戦から数日後、日本に帰国した真白達は大忙しだった。
マスコミや報道陣などが探索者協会に質問や取材の問い合わせがあり、テレビでも真白についてのニュースが未だに熱が冷めない。けれどそれも当然だ。この一カ月間で『S級ダンジョン深層レイドボス単独討伐』、『SS級ダンジョンスタンピード終息』、『フェアバンクスダンジョン災害地区解放』と、いずれも、なす事がほぼ不可能と言われ事を年はたも行かない少女がたった1人でやり遂げたのだ。日本だけでなく世界が注目するのも当然だ。
「で、私のことはどうなったんですか?」
夏休みの終わりがあと五日後に迫った今日、真白は協会に来ていた。
場所は会長室、真白の他には桐島とルーシー、真白とルーシーのそれぞれのお目付け役として龍也とシャーロットの5人が居る。
「結論から言うと、白岩さんのSSSランクが正式に承認された。これで探索者登録も無事に出来る」
「長かったなー。お疲れ、白ちゃん」
「本当に疲れました」
「『けど、正式に決まって良かったわ』」
色々と面倒事はあったがこれで真白は、世界で4人目のSSSランクと認定された。
「そして白岩さん。いくつかまず言う事がある。まず一つ目、本来SSSランク探索者は協会のお抱えの探索者となるのだが、白岩さんの場合は協会の勝手な都合で登録して頂いたので、今までどうりにしてもらって構わない。こちらの依頼も余程の緊急事態でない限り受諾しなくても良い。これは、各国の探索者協会も納得してくれている」
実はこの案は、桐島が龍也達から話しを聞いて、変なことに真白の力を利用されない為の処置として提案した。真白は非常に賢いと言われても、まだ未成年の女子高生だから心配だったため提案した案だ。もっとも、真白の頭の良さを知って殆ど心配する必要がないと思い知らされたが。
「それと二つ目、今回のアメリカ側の態度や行いが、ネット内で憶測として世間では議論されていたが、配信を通じて、白岩さんの発言した言葉で真実だと思われ問題となっている」
「『けどれ、私は気分が良かったわ!』」
「白ちゃん…随分不機嫌な雰囲気だったもんな!!」
「龍也君……君がアメリカ側に行った事が余計に真実味を出した事を忘れないでくれ」
そう、龍也はアメリカ探索者協会に対して、かつての会見の時の記者のように、真白に対しての態度が腹に据えられなかった為、アメリカ探索者協会が『生産組合』に依頼している事の殆どを中止した。初めは色々言っていたアメリカ側だったが、世間からは龍也が真白の信頼を一番受けている思われている。また、真白は探索者だけでなく、市民にも自身の発明したアイテムが非常に必要されていて、世間的に大きく貢献してる事もSSSランクになった理由の一つだ。そのアイテムを仲介していたのが殆ど龍也だった為、真白に依頼をするには龍也を仲介しなければならないと思われている。
「『けれど、その件はそこまで問題になってませんよ。むしろアメリカ側の方が非難を浴びてるわ。まぁマシロに対する態度が悪すぎて国際探索者協会でも発言力を大きく無くしてしまったからね。あの会長や殆どの幹部連中は辞職して、さらに大きな役職に就いてる者達は降格か解雇になったらしいわ! いい気味ね!』」
「『ルーシー様、ご自身の発言は場所を考えてから発言して下さい』」
「どうやら、あちらの協会内も新しい会長が就任したらしく、完全実力主義のアメリカであるのに生産職にも理解ある者が就いたらしい。あちらもその内生産職冷遇の考えが少なくなるだろう」
桐島は、かつての日本探索者協会を思い出していた。
けれど、龍也はその内中止した依頼は少しずつ再開するつもりでいる。だが、暫くはアメリカの依頼はあまり受けず、受けたとしても優先順位は低くしている。だが、今後の対応次第で元に戻すつもりだ。
「…そして三つ目なんだが、……白岩さんには、酷な事なんだが………その———」
桐島が言いにくい顔をして告げる。
「———白岩さん、…明後日正式にSSSランクの認定式の後に会見があるのだが、それに必ず参加して欲しい」
「………え゛っ!?」
真白にとってそれは、今までで一番の酷な話だった。
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明日は2話投稿!
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